2022 Fiscal Year Annual Research Report
緑茶うがいによるインフルエンザ予防:ランダム化比較試験による濃度依存性の検討
Project/Area Number |
20K10382
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
山田 浩 静岡県立大学, 薬学部, 特任教授 (40265252)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古島 大資 静岡県立大学, 薬学部, 講師 (90615238)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | インフルエンザ / 緑茶 / カテキン / うがい / ランダム化比較試験 / 急性上気道炎 / 濃度依存性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、緑茶うがいのインフルエンザ予防効果を、基礎研究で抗ウイルス作用が示されている緑茶カテキンの濃度至適性に着目し、インフルエンザの発症リスクが高く予防対策が社会的にも重要な通学世代を対象としたランダム化比較試験により検討することにある。 当初は高校生を対象とする予定で県教育委員会に協力を仰いでいたが、時はまさに新型コロナウイルス感染症(COVID-19) pandemicであったため協力を得ることができなくなった。そのため対象を急遽、大学生に変更し、対面およびオンラインで参加者募集を行い、十分なインフォームドコンセントによる文書同意が得られた209名を対象とし、カテキン高濃度群(総カテキン濃度:約76mg/dL)、カテキン低濃度群(総カテキン濃度:約31mg/dL)、水群にランダムに割り付け、2021年12月から12週間、市販緑茶粉末を用い1日3回、うがいを実施した。 解析の結果、12週間の介入によるインフルエンザの発症は無く、COVID-19の発症は3名であった。急性上気道炎全体の発症割合はFAS(Full Analysis Set)対象者201名において、カテキン高濃度群9.1%、カテキン低濃度群10.8%、水群15.7%であり、僅かな濃度依存性の傾向が見られたものの統計学的有意差は得られなかった。予防活動の実施率は、マスク着用91.0%、手洗い97.1%、手指消毒89.1%と極めて高かった。特記すべき有害事象は見られなかった。 本研究ではCOVID-19 pandemicの時期であったことから参加者のマスク着用・手洗い・手指消毒といった予防活動が徹底して行われたこともあり、低い発症割合における濃度依存性の検討となった。今後は本研究で探索した結果を踏まえ、適切なカテキン濃度の選択と症例数設計による検証が必要である。
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