2021 Fiscal Year Research-status Report
電子カルテ設計構想の見直し:臨床的利便性とデータ収集効率性の両立をめざして
Project/Area Number |
20K10387
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
松本 聡子 帝京大学, 医学部, 講師 (10422354)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉田 匡聡 東京医療保健大学, 医療保健学部, 臨床教授 (10833668)
渡邊 清高 帝京大学, 医学部, 病院教授 (80422301)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 医療情報 / 電子カルテ / 臨床指標 / Clinical Indicator / Quality Indicator / 多職種連携 / 医療情報学 / 医療の質 |
Outline of Annual Research Achievements |
電子カルテは臨床指標(以下、QI)の重要なデータ源である。しかし、電子カルテは基本的に診療情報を一次利用(患者の診療のための利用)することを目的として設計されているため、診療情報を二次利用(上記以外の目的のための利用-QIの算出を含む)するためのデータベースシステムとしては様々な制約が存在する。本研究は、電子カルテからデータ抽出を行う際の制約への対処法を見出すことを目的としている。本年度は下記を実施した。
【1】電子カルテをデータ源とするQIの活用の流れに関する検討を行った。調査対象施設における流れを「1.QI の系統性の検討」「2.臨床現場での QI の選択」「3.QI の分母・分子の臨床的に妥当な定義」「4.データ抽出可能性の検討とデータ源の決定」「5.データ抽出」「6.データのまとめ(処理、分析、結果提示)」「7.データの解釈」「8.改善策の立案・マネジメント」とした場合、これら8ステップを円滑に行なうためには、「品質保証に関する委員会」「品質保証マネジメント担当」「臨床職員」「QI・データ分析担当」「情報システム担当」の5種の人材(構成)の連携を要することを明らかにした。 【2】電子カルテからデータ抽出を行う際の制約への対処法について、整理・分類を行った。調査対象施設における対処法を「1.データフォームの構造化および情報入力方法の標準化」「2.仕様変更・環境設定」に大別した場合、1はユーザーの運用面に大きく関わるため、情報入力作業が臨床上の利便性を損わないよう工夫が必要であり、2はデータの提供に関するシステム設計・構築に大きく関わることを明らかにした。 【3】電子カルテから抽出されたデータについて、調査対象施設において品質の問題が生じた事例とその対応を、データの流れ(設計、入力、抽出・処理の3段階)と品質(完全性、正確性、適時性の3要素)の観点から整理、分析を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
データ抽出を行う際の制約およびその対処法に関する検討・整理・分類を概ね順調に行うことができた。
「電子カルテをデータ源とするQIの活用の流れ」「電子カルテからデータ抽出を行う際の制約への対処法」「電子カルテから抽出されたデータの品質」について検討・整理・分類を行った結果については、2021年度内に学会等での発表を行った。現在、それらの内容を発展させ、2022年度内の論文投稿を目指し、執筆を開始している。
電子カルテデータベースシステムの制約への対処を「1.データフォームの構造化および情報入力方法の標準化」「2.システムの仕様や環境設定の改善」「3.臨床状況に正確に対応するデータ抽出方法の検討」とした場合の上記3に関しては、2021年5月に論文投稿を行い、査読対応中である。
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Strategy for Future Research Activity |
電子カルテからのデータ抽出に関し、より多様なパターンを見出し、さらに系統的に検討を行う予定である。研究協力者の追加に加え、事例についてより広く収集するためのWebサイトを作成予定である。
電子カルテデータベースシステムの制約への対処を「1.データフォームの構造化および情報入力方法の標準化」「2.システムの仕様や環境設定の改善」「3.臨床状況に正確に対応するデータ抽出方法の検討」とした場合の検討結果に関しては、Webサイトあるいは書籍(電子もしくは紙)での情報公開を行う予定である。それにより、電子カルテからデータ抽出を行う際の制約への対処に関するノウハウを各医療機関が入手・活用可能となると考えている。
電子カルテから抽出したデータの品質に関しては、2022年度内に論文投稿予定である。データフォームの構造化および情報入力方法の標準化が臨床ツールとしての電子カルテ(一次利用)の利便性の向上にどのような効果をもたらすのかについては、2022年度内に学会発表予定である。
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Causes of Carryover |
covid-19の影響により、2件の学会発表が完全オンラインとなり、交通費・宿泊費の支出が不要となった。 2022年度にWebサイトあるいは書籍(電子もしくは紙)の作成費用として支出予定である。
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Research Products
(8 results)