2023 Fiscal Year Research-status Report
診断や治療に対する患者の家族におけるリスク認知バイアスの研究
Project/Area Number |
20K10397
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岡田 宏子 東京大学, 医学部附属病院, 特任助教 (30849352)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木内 貴弘 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (10260481)
奥原 剛 東京大学, 医学部附属病院, 准教授 (70770030)
上野 治香 帝京平成大学, 健康メディカル学部, 講師 (40740668)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | リスク認知 / リスクコミュニケーション |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、①「家族」の立場から家族員の疾患に関する確率情報に接した際の、疾患や治療(予防)へのリスク認知の傾向と認知バイアスの実際、それに影響する因子を明らかにする、②疾患・治療(予防)に関する情報の伝え方による市民、その家族のリスク認知の違いを検証し、それぞれの認知傾向に適した情報提供方法を明らかにする、③市民(患者)とその家族の認知的側面に焦点を当てたリスクコミュニケーション技法を検討することであった。研究開始時に、新型コロナウイルス感染症パンデミックが宣言され、対象疾患はほとんどすべての国民がリスク情報に触れることとなった「新型コロナウイルス感染症」とした。 2023年度は、本研究で調査した全3回分の縦断データについて、研究目的③「市民(患者)とその家族の認知的側面に焦点を当てたリスクコミュニケーション技法を検討する」に沿った解析を行った。具体的には、パンデミック下の公衆衛生コミュニケーションについて、マスメディアやソーシャルメディア、対人コミュニケーションがそれぞれ個人の予防行動にどのように関連しているかについて分析した。メディア情報は、そこから対人コミュニケーションを生成することができれば健康行動へとつながる可能性がある。人々の予防行動を促すためのメディアを利用したリスクコミュニケーション技法として、本研究の結果を論文にまとめた。また、パンデミック下では各種メディアから放出された大量の不確実性を含む情報により、人々が「情報過多」となっていたことがわかった。人の情報処理能力には限界があり、限界を超えると、重要な情報を無視したり、適切な行動を選択できなくなる。この情報過多になりやすい情報提供媒体、個人の脆弱性について解析した。これらの論文については論文執筆を終え現在国際誌に投稿し、査読中である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症流行に伴って計画修正は迫られたものの、調査3回は全て完了した。計画に沿った解析もほぼ完了し、4本論文を投稿し、2本は掲載されたが、2本は査読中である。また、残り数件のリサーチクエスチョン(家族の立場からの疾患や治療に関するリスク認知)に対する解析と結果のまとめ、論文公表が残っている。
|
Strategy for Future Research Activity |
残りのリサーチクエスチョンに対する解析を限りすすめ、結果をまとめて、医療や公衆衛生専門家が活用可能なリスク情報の伝達におけるポイントとして公表する。具体的には、研究目的②「疾患・治療(予防)に関する情報の伝え方による市民、その家族のリスク認知の違い」についての解析、報告が完了していないため、これを検証し、それぞれの認知傾向に適した情報提供方法について報告する。
|
Causes of Carryover |
現在、解析中のデータをまだ論文投稿できていないため。残りの論文を投稿するための英文校正、投稿料、学会発表時の旅費などに使用する予定である。
|