2020 Fiscal Year Research-status Report
災害後血栓症の中長期的予後に関する研究~脳・心血管イベント発症リスクについて~
Project/Area Number |
20K10398
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
伊倉 真衣子 新潟大学, 医歯学総合研究科, 特任助教 (90821819)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
榛沢 和彦 新潟大学, 医歯学総合研究科, 特任教授 (70303120)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 血栓症 / 災害医療 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、日本人における災害後の血栓症が、脳・心血管イベントに及ぼす中長期的予後を明らかにし、災害関連死や二次健康被害を予防するために、被災そのもののストレスやその後の避難環境によって起こりうるリスクを明らかとし対策を講じていくことを目的としている。研究方法:新潟県中越地震、東日本大震災などの災害では避難生活により多数の深部静脈血栓症(DVT:deep vein thrombosis)が発生した。そのDVTの長期予後、肺塞栓症の合併の有無、脳・心血管疾患などが増加していないかどうかについて、DVT検診を実施し検証する。 研究結果:令和2年度は、新潟県中越沖地震、中越地震被災地域住民 279名(男性40名、女性231名、平均年齢75.3±8.1歳;41-92歳)にDVT検診を実施した。過去に血栓の既往のある被災者の51.6%(110名;52-92歳)にDVTを認めた。また、被災地域住民1740名に追跡調査票を郵送し、1016名(回収率58.4%)の方から回答を頂いた(男性193名、女性823名、平均年齢75.2±8.3歳;21-96歳)。震災後の脳血管疾患発症2.2%(22名)、心血管疾患発症3.1%(32名)、肺塞栓症発症0.7%(7名)であった。考察:一度できた下肢の静脈血栓は消退を繰り返し、また一部は器質化し、慢性期にも影響を及ぼす可能性が示唆された。令和3年度以降も症例を蓄積し、肺塞栓症および脳・心血管イベント(脳梗塞・心筋梗塞等)の頻度と、DVT陽性群及び陰性群における発症率を検討する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
令和2年度は、COVID-19感染拡大防止のため検診会場での密集を回避するため、DVT検診の規模を縮小し感染対策に配慮のうえ、実施した。例年1000例以上の被災地域住民の方に検査を行ってきたが、感染拡大防止のため、検診規模の縮小はやむを得ない措置となった。検診についての広報等での宣伝や周知は行わず、すべて個別に案内を郵送し、検診を受診できない方にも追跡調査票を郵送した。東日本大震災被災地域での検査は、県をまたぐ移動となり、感染拡大のリスクがあるため実施を断念した。 なお、追跡調査と併せてCOVID-19感染症による生活の変化に関するアンケート調査を行った。DVT検診を受診された方のなかでは、COVID-19感染症拡大のため外出を自粛している方は87.5%(244名)だった。外出を自粛している方のDVT頻度については、DVTの既往のある方は、DVTの既往のない方よりもリスクが高い傾向が認められた。また追跡調査票を回収できた1016名のなかでは、医療機関の受診を控えていると回答した方は23.6%(240名)だった。過去に被災を経験されている方々でも、災害時にコロナウィルス感染リスクのため避難を躊躇すると回答された方は6.2%(63名)で、そのときにならないとわからないと答えた方は33.0%(335名)だった。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度は、令和2年度と同様にCOVID-19感染拡大防止対策を講じながらDVT検診を実施する。本年7月に新潟県中越沖地震被災地域、9月―11月に中越地震被災地域で実施予定である。なお東日本大震災被災地域については、COVID-19感染状況を考慮し、日程を調整中である。また、追跡調査についても調査票の郵送を予定している。
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Causes of Carryover |
令和2年度は、COVID-19感染拡大のため、予定通り検診が実施できなかったため、次年度使用額が生じた。令和3年度の検診で使用する予定である。
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