2020 Fiscal Year Research-status Report
歯科医療・口腔ケアにおける感染性飛沫への対策ー簡便な新規検出法による網羅的検討
Project/Area Number |
20K10402
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
竹本 俊伸 広島大学, 医系科学研究科(歯), 教授 (00236506)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
仁井谷 善恵 広島大学, 医系科学研究科(歯), 助教 (40403505)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 歯科診療 / 感染性飛沫 / 飛沫感染 / ブラッシング / ポリッシング / PMTC |
Outline of Annual Research Achievements |
歯科診療・歯科処置における飛沫の飛散状態について,検討した。 1)研究対象とする歯科治療,処置,口腔ケアのリストアップ:測定を行う歯科治療・処置としては,まず①術者による歯磨き(手磨き,電動歯ブラシ) ②超音波スケーラー・エアスケーラー ③低速度回転ブラシ(PMTC,歯面研磨) ④エアタービン ⑤エアスプレーによる洗浄 とし,適宜追加することとした。 2)飛散した飛沫の可視化方法の適正化:染料インクが使用可能な大型プリンターHP Designjet T1600を購入し,印刷の色や濃度などについて検討し,やや薄めの赤紫色を用いることとした。スキャナーでの取り込みによる画像解析での飛沫の測定に関しては,検出のカットオフ値の設定が確立されておらず,大型用紙をカットしてスキャンした場合の辺縁にスキャンできないエリアがあるなど,その対処法を検討中である。 3)各種歯科処置のおける飛沫飛散の測定①患者歯牙の術者磨きによる飛沫の飛散状態:全部位で飛沫の飛散が見られ、横磨きを行った唇・頬側では、歯ブラシの把持部により口唇や頬粘膜等の遮蔽物が排除された方向へ飛散が拡大した。開口部から上下左右斜め方向の8方向に飛散した飛沫の距離を比較すると、飛散の最大距離は、下顎中切歯舌側の下方向77.5cmであった。②超音波スケーラー時の飛沫の飛散:上顎右側中切歯唇側(11B)・口蓋側(11P)、下顎右側中切歯唇側(41B)・舌側(41L)の計4部位を対象として測定を行った結果,バキューム有りと比較しバキューム無しでは、顕著に飛沫が多く,バキューム無しで最も飛散量が大きかったのは11Bであり、次いで41Lであった。バキューム有りでは、11B、11Pの順であった。最も飛散量の大きかったバキューム無しの11Bは右方向へ最長で12.5㎝、次に大きかった41Lでは左下方向へ最長22.5㎝まで飛散した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和2年度の研究計画としては,①研究対象とする歯科治療,処置,口腔ケアのリストアップ ②飛散した飛沫の可視化方法の適正化(インクジェットプリンター(染料系インク)による印刷紙を用いた検出法の適正化・飛散した飛沫の解析法の適正化 ③各歯科処置における飛沫飛散の測定(令和2~5年度で実施の初年度)であった。そのうち,①については検討済みであるが,②の中の「検査用紙上の飛沫のスキャナーで取り込み,画像解析ソフトを用いてカウント」という方法については,取り込み方法,カットオフ値などについての条件が整わないため適正にマニュアル化できておらず,次年度も引き続け検討することになった。しかしながら,本実験である③については,目視での計測(画像処理による測定と同様な結果となる)により測定を始めており,既にいくつかの重要な結果を出している。 一部実施途中であるが,他については順調に進んでいるため,「おおむね順調に進展している」とした。
|
Strategy for Future Research Activity |
令和2年度時から引き続き,「検査用紙上の飛沫のスキャナーで取り込み,画像解析ソフトを用いてカウント」について,様々なカットオフ値やスキャン方法についての検討を行う。その際に,市販の解析ソフトの利用も視野に入れての検討を行う。また,大型用紙をカットしてスキャンする場合に,用紙辺縁でスキャンできないエリアが生じる問題があるが,これについては,スキャン用の台紙を用いての対応を検討する。 飛沫の飛散の測定を含めた,その他の研究については,今後も計画通り,①術者による歯磨き(手磨き,電動歯ブラシ),②超音波スケーラー,エアスケーラー,③低速度回転ブラシ ④エアタービン ⑤エアスプレーによる洗浄について,既に実験を開始しているものについては,実験を完遂し,未着手のものについては,順次,実験条件の設定→測定の実施→結果の解析という順序で研究を進める。測定は,画像解析による解析方法が確立されるまでは,当面,目視による係数を実施する。 解析が終わった項目については,準備が整い次第,順次,学会発表や論文投稿を進めていく。
|
Causes of Carryover |
必要な使途で使用したところ,比較的少額の差が生じた。 今年度は,飛沫の検出用紙を作成するための大型プリンターのロール紙およびインクカートリッジおよび補修経費として25万円,学会発表のための旅費に5万円,および学会誌への投稿のための経費として10万円程度の使用を計画している。
|