2021 Fiscal Year Research-status Report
地域住民におけるポリファーマシーと医療及び介護費用の関連についての実証分析
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20K10421
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
谷原 真一 久留米大学, 医学部, 教授 (40285771)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 医療費 / 介護費用 / 国民健康保険 / 後期高齢者医療制度 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年5月診療分のある県の国民健康保険および後期高齢者医療制度の医科および調剤レセプトより、処方薬剤数の分布を検討した。全体で42,022件のレセプトが存在し、一件当たり11.06の薬剤が処方されていた。処方薬剤数の最大値は57であった。処方薬剤数の最小値は2であり、該当レセプトは46件(0.109%)であった。処方薬剤数が9のレセプトが4,304件(10.24%)ともっとも多かった。続いて処方薬剤数が10のレセプトが4,277件(10.18%)であった。処方薬剤数が5以下のレセプトは2,972件(7.07%)と全体に占める割合は小さかった。処方薬剤数が11以上のレセプトは21,101件(50.21%)と過半数を占めていた。処方薬剤数が21以上のレセプトは1,264件(3.01%)であった。また、処方薬剤数が6~15のレセプトは33,443件(79.59%)であり、全体の8割弱が該当していた。 また、レセプトの名寄せを行った結果、41,191人に対して464,637の薬剤が処方されており、一人当たり処方薬剤数の平均値は11.3であった。処方薬剤数の最大値は107であった。処方薬剤数の最小値は2であり、該当者は43人(0.104%)であった。処方薬剤数が10の者が4,129人(10.02%)ともっとも多く、続いて処方薬剤数が9の者が4,125人(10.01%)であった。処方薬剤数が5以下の者は2,718人(6.60%)と全体に占める割合はレセプト件数と同様に小さかった。処方薬剤数が11以上の者は21,333人(51.79%)と過半数を占めていた。処方薬剤数が21以上の者は1,529人(3.71%)であった。また、処方薬剤数が6~15の者の合計は32,426人(78.72%)であり、全体の4分の3強の者が該当していた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナウイルス対応のため、本研究にデータ提供で協力を得られる見込みであった自治体から、本研究へのデータ提供の延期の申し入れがあった。また、同様にデータ提供で協力を得られる見込みであった保険者協議会からも各保険者との調整に時間がかかり、本研究へのデータ提供に必要な手続きの開始が当初予定より大幅に遅延した。そのため、今年度は研究に用いるデータの規模が縮小された上で、2022年1月に提供を受けたため、進捗状況に遅延が生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度は新型コロナの流行により生じた研究に必要なデータの入手が遅延したことの影響が長期化したため、進捗に遅れが生じている。2022年度は当初の研究計画に必要なデータを可能な限り早い時期に提供してもらうように各種手続きを進行させることでこれまでの研究進捗の遅れを取り戻すように努める。 具体的には、2021年度に一部実施した国保被保険者および後期高齢対象者の入院外レセプト(医科,歯科,調剤)を分析することで地域住民におけるポリファーマシーの頻度をより明確にすることを優先的に実施する。研究の手順としては、国保連合会および保険者協議会を通じて国保被保険者および後期高齢対象者の入院外レセプトデータを個人単位で連結し,院内処方と院外処方を合算した上で期間中の処方薬剤数と一日当たりの使用薬材数を月毎に算出する。 その上で、2021年度に実施予定としていた国保および後期高齢の調剤医療費にポリファーマシーが与える影響の大きさを推計する分析を実施する。また、医科および介護レセプトのデータを個人単位で連結することでポリファーマシー該当者と非該当者の医療と介護を合算した費用を比較し、ポリファーマシーが地域の保健医療福祉財政に与える影響の大きさを推計する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス対応のため、本研究にデータ提供で協力を得られる見込みであった自治体から、本研究へのデータ提供の延期の申し入れがあった。また、同様にデータ提供で協力を得られる見込みであった保険者協議会からも各保険者との調整に時間がかかり、本研究へのデータ提供が当初予定より大幅に遅延した。そのため、助成金使用計画にも遅延が生じている。 また、当初の計画では現地に複数回出張して打ち合わせを行う計画であったが、新型コロナウイルス対応のため、オンラインでの打ち合わせが中心となったことで旅費の使用額が大幅に予定を下回った。 次年度は、打ち合わせの他にも研究成果を学会発表するための旅費も使用する予定とし、全体としては当初の計画を遵守する方針である。なお、新型コロナウイルス流行の影響により、電子部品などの値上がりが生じており、本研究への影響を注視する必要がある。
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