2022 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation and control of changes in epigenetic metabolism of offspring induced by the mother's nutritional environment
Project/Area Number |
20K10424
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
斎藤 健 北海道大学, 保健科学研究院, 客員研究員 (40153811)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藏崎 正明 北海道大学, 地球環境科学研究院, 客員研究員 (80161727)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | エピジェネティクス / 低栄養 / 高脂肪食 / ポリフェノール / 糖・脂質代謝 / オートファジー / 次世代影響 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、母親の妊娠期あるいは授乳期の栄養環境の変化が仔の糖脂質代謝調節機構へ誘発するエピジェネティクな変化とその作用機序を解明し、さらにポリフェノール類を用いた次世代の代謝異常の制御法および予防法の開発を目指し、下記の成果を得た。 1.母親および仔ラットに高脂肪食を与えた栄養環境において、成熟期仔ラットの脂質代謝および授乳期母親の緑茶抽出物(GTE)摂取の影響を検討した。高脂肪食摂取(HF)群では、肝臓中トリグリセリド(TG)濃度は有意な高値を示し、逆に血漿中では有意な低値を示すこと、GTE群では代謝異常が軽減されることを明らかにした。その原因としてHF群の肝臓への脂質蓄積は、血中からの取り込みの促進、血中への供給の抑制、食餌由来の脂肪酸からTG合成の促進によること、肝臓の病理的変化に鉄の蓄積と活性酸素の増加が関与していることを示した。以上より、胎児期から継続する高脂肪食摂取環境が成熟仔ラットの肝臓への脂質蓄積異常とその作用機序、および授乳期母親のGTE摂取による保護作用が明らかになった。 2. 妊娠・授乳期および離乳後の高脂肪食摂取が、成熟期仔ラットの肝臓でオートファジー機能を停滞させること、授乳期母親のGTE摂取が機能低下を改善すること、その機序として、オートファーゴソーム形成に関わるULK1の活性化を促進する酵素OGTの発現変動が関与していることを明らかにした。 3. 妊娠期母親への低タンパク質曝露は、仔の肝臓中の脂肪酸合成酵素FASの発現を低下させること、その背景には、FASの転写因子SREBP1cの成熟に関与するS1Pの発現の低下によるSREBP1cの活性低下によること、授乳期母親へのレスベラトロール投与は、SREBP1cの活性化とS1Pの発現低下を改善し、FASの発現量を回復させて仔の肝臓中の脂肪酸合成低下を防ぐ働きがあることを明らかにした。
|
Research Products
(5 results)