2021 Fiscal Year Research-status Report
Traveler's acquisition and local spread of "worldwde lineage" drug-resistant bacteria elucidated by next-generation sequencer
Project/Area Number |
20K10426
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
嵯峨 知生 秋田大学, 医学部附属病院, 准教授 (80459809)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 抗菌薬耐性菌 / 渡航 / 世界流行系統 |
Outline of Annual Research Achievements |
抗菌薬耐性菌の増加は今や深刻な国際的脅威と認識されている。耐性菌は、従来から考えられてきた患者体内での選択ではなく、すでに出来上がった耐性菌が地域を越えて分布する『世界流行系統』耐性菌が存在することが明らかにされつつある。しかし世界流行系統の伝播経路は未解明であった。また、渡航は耐性菌獲得リスクだが、市中の健常者の渡航が医療現場の耐性菌に及ぼす影響は未評価である。耐性菌の伝播実態の解明を通じて伝播遮断による根本的な耐性制御につなげることを狙っている。 地方の医療現場にも『世界流行系統』耐性大腸菌ST131-fimH30が存在し、その性質は海外からの報告と共通していたというこれまでの研究成果に立脚し、渡航による耐性菌獲得および渡航者が地域の医療現場の耐性菌に及ぼす影響を直接評価することを目的として、次世代シーケンサを活用した渡航者獲得菌の全ゲノム解析での近縁性評価と耐性菌の系統組成の評価系の構築を行うための準備を進めてきた。 今年度はその一環として、申請者らが従来から使用しているIllumina社の次世代シークエンサよりもリード長が大きいOxford Nanopore Technologies社のMinIONを新たに使用し、微生物ゲノムの塩基配列解析を実施して成功することができた。 微生物検査および感染制御の現場も新型コロナ感染症対応に追われる状況が依然続いており、本研究は新型コロナウイルス感染症のパンデミックの影響を大きく受けている。しかし海外渡航再開の機運が高まっており、渡航者を対象とする本研究の検体採取が可能となる見込みが上がる中、使用可能な次世代シークエンサの幅が広がったことの意義は大きいと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
前年度に引き続き今年度も新型コロナウイルス感染症のパンデミックのため、海外渡航自体が大きな制約を受けたため、渡航者を対象とする本研究への影響は大きかった。加えて微生物検査および感染制御の現場も新型コロナ感染症対応に追われる状況が続いている。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウイルス感染症のパンデミックで海外渡航自体が大きな制約を受けている状況が続いていた。このような中、昨年度は従来使用しているものとは別の次世代シークエンサを新たに導入し、あわせてハンズオンタイム短縮・効率化を実現する半自動のサンプル調整系が利用可能になったため、これを活用して解析のスループットを高めることを計画している。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症のパンデミックの影響を受け、本研究に必要な渡航者の確保が以前と比べて大幅に困難になったため、。また、微生物検査室および感染制御部の業務が新型コロナウイルス感染症対応に大幅にシフトしたため。 次年度以降、新型コロナウイルス感染症の収束後に、本年度実施を見送らざるを得なかった検討を行う予定としている。
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