2020 Fiscal Year Research-status Report
IL-5を起点とした非IgE依存的アレルギー性鼻炎発症機序の解明
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20K10428
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
山崎 輝美 (長井輝美) 富山大学, 学術研究部医学系, 特命助教 (20558134)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
土田 暁子 富山大学, 学術研究部医学系, 助教 (00867674)
柳橋 努 富山県薬事総合研究開発センター, その他部局等, 主任研究員 (60710887)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | IL-5 / ILC2 / 神経 / 小児コホート研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
アレルギー性鼻炎においては、即時型反応に免疫グロブリンE(IgE)が関与しない経路が存在することが報告されているが、未解明である。これまでに申請者らは、非IgE依存的にアレルギー性鼻炎即時型症状を呈するモデルマウスを作成し、2型自然リンパ球 (ILC2)が産生するインターロイキン-5(IL-5)が発症に関与することを見出している。本研究では、「IL-5産生ILC2が神経と相互作用し、非IgE依存的にアレルギー性鼻炎を発症させる」という仮説を立てた。マウスモデルにより①非IgE依存的アレルギー 性鼻炎におけるIL-5産生ILC2と三叉神経との相互作用について解析し、さらに小児を対象とした前向きコホート研究を行うことで②アレルギー性鼻炎へのIL-5の関与について疫学的に解析し、研究課題の解決を目指している。 2020年度は、マウスモデルにおいては、IL-5が神経を活性化させるかどうかを明らかにすることを目指した。野生型およびIL-5欠損マウスにパパインを投与し直後の神経活性化マーカーの発現を解析した結果、IL-5欠損マウスの橋(pons)では神経活性化マーカーの発現が有意に低下することが明らかになった。また小児を対象とした疫学研究においては、エコチル調査に参加している富山県在住の2013年から2014年生まれ(現在6-7歳)の小児1180人をリクルートし、317名から同意を得た。同意した小児に対し、2021年1月から2月初旬にスギ花粉飛散前の鼻症状についてISSAC質問票を用いたアンケートと唾液の採取を実施した。参加児のスギ花粉飛散前におけるアレルギー性鼻炎有病率は33.3%で、うちスギ花粉症有病率は11.5%であった。アレルギー性鼻炎有病率、スギ花粉症有病率においては、性差および年齢差をみとめなかった。唾液の解析についてはスギ花粉飛散後のサンプルと比較するため実施しなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2020年度は新型コロナウイルス感染症の流行により研究の進捗がやや遅れたが、マウスモデルにおいてはIL-5が神経を活性化するという仮説の足がかりとなる結果が得られた。またコホート研究においては、新型コロナウイルス感染予防のため当初の計画から生体サンプルの種類の変更を余儀なくされたが、対面での調査が難しい中、郵送でのリクルート、同意取得および生体サンプル採取に活路を見出し、順調に研究を進めることができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度は、マウスモデルにおいてはILC2と神経との相互作用メカニズムを明らかにする予定である。具体的には、パパインを投与された鼻粘膜の神経ペプチド(サブスタンスP 、VIP等)とILC2の神経ペプチド受容体の発現量を定量PCR法により解析する。また三叉神経節より分離した神経細胞を用いて、IL-5を添加した際の神経ペプチドの検出とカルシウムイメージングによる神経活動の可視化を行う。また、小児から得られたアレルギー性鼻炎に関する質問票と唾液のELISA解析から、アレルギー鼻炎の発症にIL-5が関与しているかどうかを多変量解析により明らかにする予定である。
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Causes of Carryover |
2020年度は新型コロナウイルス感染拡大に伴い研究に関わる物品が不足し、納入の遅れが目立った。そのため本研究で使用する実験キットやプラスチック器具の一部が年度末までに納入されなかった。しかし納入が遅れた物品は新年度に入り速やかに入荷し請求されている。以上により残高は速やかに解消される予定である。
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Research Products
(2 results)