2020 Fiscal Year Research-status Report
clearification of novel mechanism for refractory asthma and clinical application
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20K10429
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
小川 博久 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 准教授 (50403754)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平 修 福島大学, 食農学類, 教授 (30416672)
吾妻 雅彦 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 准教授 (80325282)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 気管支喘息 / 難治性喘息 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、当該研究で使用する難治性喘息モデルを作製した。 従来は卵白アルブミンやダニ抽出タンパクなど1種類の抗原で作られるが、ステロイド喘息抵抗性を獲得するために、今回はダニ、スギ花粉抽出物、カビ抗原(アスペルギルス)の3つの抗原を混合した抗原を用いてモデルを作成し、実際にステロイド抵抗性喘息を起こしているか否かを検討した。 モデル作成の方法は、BALB/cマウス(メス5週齢)を用いて抗原感作を2回、抗原チャレンジを週3回x4週間で計12回実施し作成した。対称として、ステロイド感受性のある前述のダニ抗原単独腹腔内感作モデルも作成した。それぞれのモデルではデキサメタゾン投与群(5mg/kg)も作成し比較した。 複数抗原による喘息モデルでは気道過敏性(AHR)は亢進し、ダニ抗原喘息モデルと差はなかった。デキサメタゾン投与でもAHRに改善はみられなかった。病理学的検索ではリンパ球、好酸球浸潤は、組織、BALにおいて、3種混合喘息群でダニ抗原喘息群と変わらず増加し、デキサメタゾン投与で減少するも、減少の程度はダニ抗原喘息モデルと比べ少なかった。サイトカインでは3種混合喘息モデルでIL-13, TGF-bにおいて、ステロイド抵抗性であった。以上から、ダニ、スギ、アスペルギルスの複数抗原による慢性喘息モデルはステロイド抵抗性であることが示された。 今後は肺沈着物質X(蛋白/脂質/ペプチド)を質量分析法を用いて網羅的に解析し、ステロイド感受性のある群、抵抗性のある群で比較を行い、抵抗性のある群に特徴的な肺沈着物質Xを特定する。現在上記のモデルの凍結肺を保存しており、今後分担研究施設に送付して網羅的解析に着手する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初は複数抗原モデルは経鼻感作によって作成する予定であった。しかし、予備実験から、スギ抗原、アスペルギルス抗原では経鼻感作でアレルギー性炎症が弱く、モデルがうまく作れない可能性があり、予定を変更して、腹腔内感作で作成することとした。また、これまでの報告では、3種混合喘息モデルはダニ、ブタクサ、アスペルギルスを抗原として感作・チャレンジを行い、難治性モデルが作成されてきた。海外では花粉抗原としてはブタクサが中心であるが、日本ではスギが多く、またスギに含まれるcryJ1はブタクサを含む他のアレルゲンにも含まれることが分かっており、今回はブタクサからスギに変更した。まだ、気道リモデリングの指標である粘液産生、気道線維化、気道平滑筋肥厚を病理学的に検討できていないが、おおむね、複数抗原による難治性喘息モデルは作成できたと考えられ、順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
計画書に予定していた使用抗原をブタクサをスギに変更していることから、海外で報告のあるダニ+ブタクサ+アスペルギルスによる喘息モデルと今回作成したスギを使ったモデルでアレルギー炎症、気道リモデリングに差がないか、また、デキサメタゾンの感受性に差がないか確認実験を行う予定である。明らかにスギよりブタクサの方が成績が良ければ、ブタクサを使用したモデルに変更して検討する必要がある。 モデルが確定すれば、その肺を各群で質量分析にかけて、難治性に関与する”沈着物X”について網羅的解析をおこなう。これらはタンパクに関しては外注で解析し(徳島にある検査会社に発注予定)、脂質に関しては、研究分担施設である福島大学、平修研究室に依頼して、網羅的解析とその物質Xの定量、局在を解析する予定である。 物質Xが特定されたり、絞り込むことができれば、その物質Xが喘息の難治化をどのように制御しているか、そのメカニズムについて検討する。
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Causes of Carryover |
今年度はモデル作りが中心となり、研究分担施設での質量分析装置の稼働が少なかったこと、また、次年度は沈着物Xを網羅的に解析し、多額の費用が必要になることから、それらを見越して、マウスモデル作りの使用額を抑えたため、次年度使用額が生じた。次年度は質量分析装置を多く使用する予定で、その際に標準品の購入や消耗品の購入などが多額になると考えられる。またタンパク質の網羅的解析は外注になり、こちらも多額の費用が考えられることから、これらの費用を次年度使用額と、請求予定の助成金から使用する計画である。
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