2020 Fiscal Year Research-status Report
ゲノム情報から読み解く薬剤耐性感染症におけるキャリアとしての伴侶動物の重要性
Project/Area Number |
20K10432
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
嶋田 照雅 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 教授 (00264812)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安木 真世 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 准教授 (40589008)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 薬剤耐性感染症 / 伴侶動物 / 伝播 / 第3世代セファロスポリン耐性腸内細菌科細菌 |
Outline of Annual Research Achievements |
薬剤耐性菌(第3世代セファロスポリン耐性腸内細菌科細菌:3GCREnt)の伝播において伴侶動物の役割と影響を明らかにすることを目的としている。本年度の成果は以下の通りである。 ①取得したイヌ由来3GCR大腸菌の全ゲノム配列情報をデータベース上にあるヒト由来同大腸菌の配列情報と比較し、系統樹解析ならびにSNP解析(一塩基多型解析)を行った。その結果、特定の非腸管病原性3GCR大腸菌がイヌ-ヒト間で伝播される可能性が強いこと、別の3GCR大腸菌は大阪府下のイヌにおいて流行した可能性があることが示された。 3GCR大腸菌の伴侶動物-ヒト間における伝播を全ゲノム情報を基に解析した研究は世界でも限られており、耐性菌伝播における伴侶動物の影響の理解に繋がる重要な新規知見が創出された。本研究成果は専門学術誌であるPLoS ONEに掲載された。 ②院内環境における耐性菌の分布調査を行った結果、数種の3GCREntが検出された。これら菌種は動物から分離される菌種とは異なったため、動物由来耐性菌が院内を汚染している証拠は得られなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請時に作成した研究スケジュールに対して、概ねスケジュール通りに研究を遂行した。新型コロナウイルス感染症蔓延の影響で、動物病院を罹患する患者数が減少した。それに伴い、入手できる耐性菌検体数が減少した。そのため本年度は耐性菌の全ゲノム情報取得のための次世代シーケンス解析を行わず、来年度に2年分まとめて解析することとした。
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Strategy for Future Research Activity |
研究スケジュールに則り、引き続き伴侶動物の耐性菌保菌状況調査・院内環境の耐性菌分布調査を行うと共に、全ゲノム情報の取得を行う。更に獣医療従事者を対象とした耐性菌保菌状況調査を始める。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症蔓延の影響を受け、動物由来耐性菌の入手数が減少した。そこで本年度は耐性菌の全ゲノム配列情報の取得は行わず、来年度に延期することとした。その結果、次年度使用額が生じた。本額は耐性菌の全ゲノム配列情報の取得に使用予定である。
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[Journal Article] Whole-genome analyses of extended-spectrum or AmpC β-lactamase-producing Escherichia coli isolates from companion dogs in Japan2021
Author(s)
Yasugi M, Hatoya S, Motooka D, Matsumoto Y, Shimamura S, Tani H, Furuya M, Mie K, Miyake M, Nakamura S, Shimada T
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Journal Title
Plos One
Volume: 16
Pages: e0246482
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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