2023 Fiscal Year Annual Research Report
ゲノム情報から読み解く薬剤耐性感染症におけるキャリアとしての伴侶動物の重要性
Project/Area Number |
20K10432
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Research Institution | Osaka Metropolitan University |
Principal Investigator |
嶋田 照雅 大阪公立大学, 大学院獣医学研究科, 教授 (00264812)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安木 真世 大阪公立大学, 大学院獣医学研究科, 准教授 (40589008)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 薬剤耐性感染症 / 伴侶動物 / 伝播 / 第3世代セファロスポリン耐性腸内細菌科細菌 |
Outline of Annual Research Achievements |
薬剤耐性菌(第3世代セファロスポリン耐性腸内細菌科細菌:3GCREnt)の伝播において伴侶動物の役割と影響を明らかにすることを目的としている。本年度の成果は以下の通りである。 2018年から2023年に分離同定されたイヌ・ネコ由来3GCREnt48株と2022年に分離同定された獣医療従事者由来3GCREnt7株を全ゲノムシーケンス解析し、薬剤耐性bla遺伝子保有プラスミドの近縁性を評価した。動物とヒトの間で相同性の高いプラスミドは検出されず、動物病院内での耐性遺伝子保有プラスミドの異種間伝播の証拠は得られなかった。一方IncI/blaCMY-2、IncFII/blaCMY-2、IncFIB/blaCTX-M-15プラスミドでは、異なるイヌ間でそれぞれのプラスミドの相同性が95%以上であったことからイヌ間でのそれぞれのプラスミドの伝播が示唆された。ヒト由来3GCREnt大腸菌のIncI1/blaCTX-M-55プラスミドはデータベースに登録されているブタと鳥由来大腸菌の同型プラスミドと高い相同性を示し、異種間伝播する可能性が示された。更にヒト由来サルモネラ菌・赤痢菌・肺炎桿菌由来同型プラスミドとも高い相同性を示し、様々な菌に移動する可能性が示された。またイヌ・ネコ由来IncFIB/blaCTX-M-15プラスミドやIncI/blaCMY-2プラスミドはデータベース上のヒト由来の同型プラスミドとそれぞれ高い相同性を示し、異種間伝播する可能性が示された。 これら知見は未だ世界的に報告がなく、薬剤耐性菌伝播における伴侶動物の役割と影響の理解につながる重要な新規知見と考えられた。
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