2021 Fiscal Year Research-status Report
Comprehensive genome analysis of norovirus and comparative analysis of the pathogenesis by the difference of genotypes
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20K10443
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Research Institution | Osaka Institute of Public Health |
Principal Investigator |
本村 和嗣 地方独立行政法人 大阪健康安全基盤研究所, 公衆衛生部, 部長 (60450558)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ノロウイルス |
Outline of Annual Research Achievements |
大阪における2021/2022秋冬季シーズンの感染性胃腸炎の発生動向について、記載する。過去5年間の発生動向を比較すると、2016/17秋冬季シーズンは、ノロウイルスGroup IIのType2(GII.2)の新変異株が出現し、小児を中心に集団発生事例が発生し、直近5年では、定点当たり報告数も最大となっているものの、2017/2018、2018/2019秋冬季シーズンは、少ない発生動向で推移していた。さらに、2020/2021秋冬季シーズンは、新型コロナウイルス感染症流行に伴うソーシャルディスタンス、手洗いの励行、咳エチケットなどの「行動変容」のため、小児科における感染性胃腸炎の報告数が非常に少ない状況で推移しており、例年と異なる発生パターンを示している。しかしながら、2021年11月から12月にかけて、感染性胃腸炎の報告数の増加が認められ、直近5年間では、ノロウイルス感染症が流行した2016/17秋冬季シーズンに次ぐ、2番目に多い状況であった。その原因は、過去数年にわたり、感染性胃腸炎に発生報告が低水準で推移していたため感受性個体群が増加した、変異株の出現などが考えられた。今回、公共のゲノムデータバンクであるNCBIに登録されたA自治体のノロウイルスGII.4のカプシド蛋白質領域の配列(ORF2)を、2013-2016年までに、NCBIに登録されているORF2の配列と比較し解析した。(i) 近縁系統樹解析では、GII.4 Sydney 2012亜株に属していた。(ii) A285T、R297H、I317T、V365A、D372N、T534Aの計6箇所、アミノ酸変異が認められた。このうち、5箇所の変異は、ウイルス粒子の最外殻領域であるP2領域に存在しているため、抗原性の変化に寄与する変異であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症流行に伴うソーシャルディスタンス、手洗いの励行、咳エチケットなどの「行動変容」のため、小児科における感染性胃腸炎の報告数が非常に少ない状況で推移しており、検体の確保が難しい。
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Strategy for Future Research Activity |
解析した配列は、GII.4 Sydney 2012亜株に属していた。GII.4 Sydney 2012亜株は、2012年から2013年にかけて世界で流行をきたした主要な変異株であったが、今回、解析した配列は、ウイルス粒子の最外殻領域であるP2領域に変異が複数蓄積しており、抗原性が変わっている可能性がある。よって、過去にGII.4 Sydney2012に既感染者で抗体を保持していても、免疫を逃避し、症状は軽いかもしれないが、再感染する可能性はある。今後、新型コロナウイルス感染症に対する対策として、行動緩和が進むと、報告数が多くなるかもしれないことが示唆される。この配列をもつノロウイルスが拡大傾向にあるのか、どうか。そして、2021年11月から12月にかけて、感染性胃腸炎の報告数の増加が認められた原因が、このGII.4 Sydney 2012亜株の派生株の出現のためか調査を継続したい。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症流行に伴い、第四波から第六波まで多くの感染者が発生し、関係各所に「新型コロナウイルス感染症の疫学解析の週報」を、毎週、作成報告しているため、研究業務の遂行が予定より遅れたため。
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Research Products
(6 results)