2020 Fiscal Year Research-status Report
バロキサビル耐性インフルエンザウイルスの出現頻度と分子疫学に関する研究
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20K10444
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Research Institution | Osaka Institute of Public Health |
Principal Investigator |
廣井 聡 地方独立行政法人 大阪健康安全基盤研究所, 微生物部, 主任研究員 (40455548)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森川 佐依子 地方独立行政法人 大阪健康安全基盤研究所, 微生物部, 主任研究員 (40321939)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | インフルエンザウイルス / 薬剤耐性 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019/2020シーズンに当所でインフルエンザウイルスが検出された検体を用いてPA遺伝子の塩基配列解析を行い、抗インフルエンザウイルス薬バロキサビルへの感受性が低下するI38T変異を持つウイルスの検索を行った。2019/2020シーズンのインフルエンザは、シーズン前半にAH1亜型、後半にB型(Victoria系統)を中心とした流行がみとめられたが、2020年2月以降、新型コロナウイルス感染症が国内で確認された影響により大阪でも定点当たり報告数が減少し、例年より早く流行が終息した。合計でAH1亜型59検体、AH3亜型2検体、B型24検体からインフルエンザウイルスの塩基配列を解析することができたが、I38T変異はいずれの型からも検出されなかった。その要因として、2018/2019シーズンに耐性ウイルスの出現が懸念されたことにより、2019/2020シーズンはバロキサビルの使用に慎重となったことが考えられる。それらの検体のうち、AH1亜型2検体、AH3亜型2検体からMDCK細胞を用いてインフルエンザウイルス株の分離・増殖を行い、耐性変異ウイルスの作出および性状解析を行うためにバロキザビル存在下でウイルスの継代培養を進めている。AH1亜型については、NAのH275Y変異によるオセルタミビル耐性変異ウイルスの検索も行ったが、こちらも検出されていない。2020/2021シーズンはインフルエンザの流行が全くみとめられず、インフルエンザウイルス陽性となった検体を得ることができなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
令和2年度は、新型コロナウイルス感染症の感染が拡大した影響により、SARS-CoV-2の検査や変異株の解析にエフォートを割く必要があったため遅れが生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、抗インフルエンザウイルス薬剤存在下で継代培養したウイルスの遺伝子解析を進め、耐性変異ウイルスの検索および耐性ウイルスの性状解析を行う。また、2021/2022シーズンに、当所の病原体検索でインフルエンザが陽性となった検体を用いて、ウイルスの分離や遺伝子解析を行う予定である。
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Causes of Carryover |
令和2年度は、新型コロナウイルス感染症の影響で予定通りに研究計画が進まなかったため、未使用額が生じた。遅れている解析については令和3年度に実施するため、未使用額はその経費として使用する。
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