2020 Fiscal Year Research-status Report
Understanding of herbicide exposure level by biomonitoring and its application to the risk assessment
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20K10450
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
上山 純 名古屋大学, 医学系研究科(保健), 准教授 (00397465)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 尿中グリホサート |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は予定通りグリホサートを主とした除草剤の高感度および信頼性を最重視した測定法を高速液体クロマトグラフ-タンデム質量分析計(LC-MS/MS)で開発した。この測定法を自動前処理装置エクストラヘラに応用することで、信頼性を担保したままハイスループット化に成功した。グリホサートは金属配位性があるなど、高感度測定は難しいとされているが、メタルフリーカラム、リン酸等によるLC配管や固相カラムのコーティング、アジレント社製のピークシャープナーを併用することで約40%の一般健常人からグリホサートが検出できるようになった。尿の濃淡が測定の精度に影響することが判明したことから、creatinine-matching dilution method(CreMDi法)を提案し、その有効性を証明した。すなわち、CreMDi法により、各人から採取した尿におけるターゲット物質の回収率向上、高速液体クロマトグラフィーの保持時間の安定化、マトリックス効果の低減に成功した。ただし、この方法は尿クレアチニン測定後、その濃度を0.05g/Lに合わせるように水で希釈する必要があるために、人的な手間と時間が必要となり、改善する予定である。 小児、一般成人、農業従事者からそれぞれ20, 24, 10名に本測定法を応用した。その結果、尿中グリホサート濃度は、他国から報告されている濃度と比較して、同等かそれ以下であった。小児を含めた日本人の尿中グリホサート濃度の報告は本研究が初めてである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画書通り、1年目の測定法開発は十分な性能を確認できたために終了し、次のフェーズに移行できることから順調に研究は進展していると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
尿バイオモニタリングは、尿の濃淡によるターゲット物質の測定のしづらさがあった。しかし、本研究ではCreMDi法という新しい尿測定法の概念を提案し、その有用性を証明し実践する必要がある。グリホサートではこれは達成したが、他の物質でも同様に有効かどうかを確認する予定である。
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Research Products
(4 results)