2021 Fiscal Year Research-status Report
Understanding of herbicide exposure level by biomonitoring and its application to the risk assessment
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20K10450
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
上山 純 名古屋大学, 医学系研究科(保健), 准教授 (00397465)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | グリホサート |
Outline of Annual Research Achievements |
非選択的除草剤であるグリホサート及びその塩類は、過去20年間に国内出荷量が1,304トンから5,156トンに増加しており、農業および一般的な生活環境下で多く使用されている化学物質である。諸外国では、生体試料中からグリホサートやその代謝物を測定することでグリホサートの曝露レベルを把握する試みが進んでいるが、日本人集団を対象とした研究は行われていない。本研究では、日本人小児を対象に尿中グリホサートを測定し、日本人小児におけるグリホサート曝露レベルの経時的変化、季節間差、性差、また殺虫剤曝露マーカーとの相関などグリホサート曝露の特徴について評価した。2006年、2011年および2015年の10月に日本人小児(4~6歳)各年50名から採取した早朝尿(計150検体)、2012年8-9月および2013年2月に3歳児各季節42名から採取した早朝尿(計84検体)を対象とした。前者の集団から経時的変化、後者の集団から季節間差、性差および殺虫剤曝露マーカーとの相関を評価した。尿中グリホサートは、液体クロマトグラフタンデム型質量分析計(LC-MS/MS)を用いて測定を行った。 結果として、234検体のうち41%で尿中グリホサートを検出し、尿中グリホサートの75パーセンタイルおよび最大濃度は、それぞれ0.20および1.33 μg/Lであった。2015年の集団の尿中グリホサート濃度は2006年に比べて有意に高く、経時的なグリホサート曝露レベルの上昇が示唆された。一方、尿中グリホサート濃度に季節や性別による差は観察されず、殺虫剤曝露マーカーとの相関も認められなかった。 この成果は国際科学雑誌International Journal of Hygiene and Environmental Healthに掲載された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
バイオモニタリングによる歴史的な除草剤グリホサートの曝露量変遷を日本人小児で確認できたことは、世界的にもインパクトのある成果である。また、尿中グリホサート量から一日曝露量を推算し、日本食品安全委員会が定めた一日許容摂取量よりも100分の1以下である可能性を示した。 グリホサート曝露のリスクを明らかにする疫学研究を立案する際の一助になりうる情報を提供するが最大の目標であることから、本研究は順調に進行していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
成人100名を対象に分割蓄尿を採取しており、今年度はこの検体について除草剤の分析を行い、日内変動やクレアチニン補正の有用性などの評価する。これにより、畜尿以外のサンプルを用いた疫学調査結果が有する不確かさについて考察できる。
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Research Products
(2 results)