2021 Fiscal Year Research-status Report
経皮暴露評価のための尿中芳香族アミン類のハイスループット分析法の開発
Project/Area Number |
20K10451
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
長尾 正崇 広島大学, 医系科学研究科(医), 教授 (80227991)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奈女良 昭 広島大学, 医系科学研究科(医), 教授 (30284186)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 芳香族アミン / 生物学的モニタリング / 健康被害 / 分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、健康影響を及ぼす可能性の高い芳香族アミンを対象に尿中からの簡便な前処理法を用いつつ高感度・高精度な分析法を開発し、高度な分析技術や知識を持たない分析者でも正確な定量値の得られる実施可能なスクリーニング系を構築することを目的とする。将来的には健康診断項目に追加されても対応可能なように多検体処理法も念頭に置き、その開発に挑む。 本年度は、芳香族アミンの代謝物であるアミノフェノール類の1)加水分解条件、2)誘導体化法、3)抽出方法について検討を行った。1)の加水分解条件について、既存の手法では酸やアルカリでの加水分解が知られているが、高濃度の酸やアルカリを使用しており安全性の面で問題があった。本研究では、組み換え体酵素を利用して室温かつ短時間で安全性の高い加水分解法を検討した。その結果、15分ほどの短時間かつ簡便な手法で加水分解できることが判明した。2)の誘導体化については、同一分子内にあるアミノ基と水酸基の誘導体化は困難であり、誘導体化剤の検討や誘導体化の順番を変えたりするなど種々の条件を検討した。その結果、抽出溶媒を濃縮することなく、無水酢酸を使用することで抽出溶媒内でアミノフェノール類のアミノ基と水酸基を同時にアセチル化出来ることが判明し、その最適化を行った。3)の抽出方法については、ヘキサン、トルエン、ジクロロメタン、酢酸エチルなどでの抽出を検討した結果、ジクロロメタンで良好な結果が得られ許容濃度まで検出することが可能となった。しかし、ジクロロメタンを使用した抽出では、抽出溶媒の下層を採取するなどの抽出操作に難があるため、MonoSpinなどの簡便な手法への移行が検討課題となる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
アミノフェノール類のアミノ基と水酸基の誘導体化条件を種々検討したが、適正な誘導体化手法の検索に時間を要したため。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度以降は、これまでの結果を参考にしてバリデーションデータを採取し、多検体処理などへの実用化に耐えうる手法であるかの検討を加え、逐次改良を加えていく。現状としては、尿0.5mLを使用して酵素加水分解し、水酸化ナトリウムで液性を調製した後に無水酢酸でアセチル化した後のジクロロメタン0.5mLで抽出する。試料溶液は濃縮乾固することなくGCMSで分析する方法が有力な分析法の一つとして想定される。また、構築した芳香族アミンとの一斉分析の可能性などを考慮し、加水分解法や抽出法などの統一も検討する。本法ならびにMonoSpinカラムでの抽出法を選択肢とし、実用化および方法の改良を図る。実用的な前処理法であるかの評価や改良には、本研究体制に加わっている労働衛生関連の分析専門家である中央労働災害防止協会の竹内靖人氏(研究協力者)の助言を得て実施する予定である。
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