2022 Fiscal Year Annual Research Report
Molecular epidemiology and immunology of sapovirus infection in infants and children
Project/Area Number |
20K10455
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
沖津 祥子 日本大学, 医学部, 客員研究員 (10082215)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ウイルス性胃腸炎 / サポウイルス / 分子疫学 / 小児 / 感染免疫 |
Outline of Annual Research Achievements |
急性胃腸炎のため小児科外来を受診した小児の便検体からサポウイルス(SaV)を検出し、遺伝子型を調べて流行状況を解析した。7月から翌年6月までを1年とした。2014-2017年の3年間ではGI.1の検出率が非常に高く、一方で全6種類の遺伝子型が検出された。同じGI.1でも核酸配列の異なる2種類があった。2017-2022年の5年間でもGI.1が高いが、頻度は低下し、全7種類の遺伝子型が見られ、さらに多様性が増加した。 SaV感染に対する免疫防御能を調べるために、同じ患者でのSaV再感染を調査した。2014-2017年で3例、2017-2022年で2例あり、再感染はすべて別の遺伝子型であった。感染した遺伝子型に対する免疫が成立したと考えられた。SaVの人工粒子を用いて非感染者の乳児から成人の血清中抗体価、および対応する母と乳児の血清と母乳中の抗体価を測定した。抗体価と年齢の間に相関性は見られなかった。初乳中のIgA抗体価は成乳よりも高かった。母親の血清中にはその出産乳児よりも高い抗体価が認められた。 SaV以外の下痢症ウイルスの分子疫学を行った。ロタウイルスワクチンの任意接種開始以後ロタウイルスの検出率は次第に低下し、ワクチンの有効性が認められた。一方その遺伝子型は毎年変遷した。アストロウイルスの疫学を検討した。 まとめると2014~2022年の日本の小児急性胃腸炎患者におけるSaVの流行疫学を明らかにした。またSaV感染児は感染した遺伝子型特異的な免疫を得るが、長期に高い抗体価は維持されなかった。母親から乳児へSaV特異的な受動免疫が与えられることが明らかとなった。 2020年春から日本で新型コロナウイルス感染症が流行し、その感染制御のため急性胃腸炎の外来患者も減少したがその翌年は上昇した。今後もSaVをはじめとする急性胃腸炎の流行疫学の調査が必要である。
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Research Products
(6 results)