2020 Fiscal Year Research-status Report
胃がん・大腸がんサバイバーの予後に関連する生活習慣および遺伝子多型の探索
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20K10463
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Research Institution | Aichi Cancer Center Research Institute |
Principal Investigator |
尾瀬 功 愛知県がんセンター(研究所), がん予防研究分野, 主任研究員 (00584509)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | がんサバイバーシップ / 胃がん / 大腸がん / 縦断研究 / 遺伝子多型 |
Outline of Annual Research Achievements |
がんの診断・治療の進歩によりがんに罹患後生存している人(がんサバイバー)が増えている。本研究の目的は日本に多い胃がん・大腸がんサバイバーにおけるがん罹患後の生活習慣・バイオマーカーとがんの再発・死亡リスクの関連を検討することである。 本研究は愛知県がんセンターで行っている胃がん・大腸がんサバイバーコホート研究の枠組みを利用して実施している。胃がん・大腸がんサバイバーコホート研究は2015年1月から2018年2月の間に愛知県がんセンターで胃がんまたは大腸がんの初回治療を行った患者を対象として行われている。研究参加者はがんの治療開始前と治療後3ヶ月・12ヶ月時点で血液検体の収集を行う。また、治療開始前・治療後1年・3年・5年の時点で自記式質問票を用いた生活習慣・社会的要因・心理的要因の評価を行う。 2020年度は胃がん・大腸がんサバイバーコホート研究参加者の血液検体からDNAの抽出を行い、遺伝子多型の測定を行った。これまでにゲノムワイド関連研究などで胃がん・大腸がんの罹患あるいは予後と関連が報告された遺伝子多型を測定対象とした。また、追跡調査として2017年・2018年参加者の3年後調査および2015年参加者の5年後調査を行った。 更に、胃がん・大腸がん罹患から1年間の抑うつに影響する臨床要因および他の生活習慣等の検討を行った。K6質問票でうつ病を疑う10点以上の割合が治療前12.4%から1年後10.2%とやや減少していた。50歳未満の若年者、Performance Status1以上、社会的サポートを得られる人数が少ないことが抑うつと関連しており、学歴・世帯年収は抑うつと関連が見られなかった。社会的サポートの効果は女性で大きく、男性では小さかった。これより、がんサバイバーに対して、相談支援センターやピアサポートなどの社会的支援が抑うつを改善させる可能性がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定通り、2020年度に遺伝子多型の測定を終了したため。また、追跡調査についても予定通り進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度は主に研究参加者の予後調査と追跡調査の実施およびそれらデータの整理を行う。データ整理が順調であれば、粗解析に着手する予定。2022年はデータの解析と論文の作成を行う。
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Causes of Carryover |
コロナウイルス感染症パンデミックにより、学会などが中止やオンライン開催になったことにより旅費の支出がなくなったこと。また、物品費として遺伝子多型測定にかかる試薬などの購入を予定していたが、その一部を他の研究費でまかなうことができたため。次年度使用額については追跡調査の効率化のための人件費、遺伝子多型などの追加測定の費用として使用を予定している。
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