2023 Fiscal Year Research-status Report
糖尿病性腎症重症化予防に資する効果的な受診勧奨方法の開発に関する研究
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20K10474
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Research Institution | Saitama Prefectural University |
Principal Investigator |
川越 雅弘 埼玉県立大学, 大学院保健医療福祉学研究科, 教授 (00435778)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 糖尿病性腎症 / 受診勧奨 / eGFR / 医療レセプト / 人工透析 |
Outline of Annual Research Achievements |
糖尿病性腎症重症化予防は、健康寿命の延伸及び医療費適正化の観点から、国の重要課題とされている。埼玉県では、2014年度から糖尿病性腎症重症化予防対策事業を開始し、受診勧奨及び保健指導を行ってきたが、その効果評価は十分ではなかった。 そこで、本研究では、効果的な受診勧奨方法の確立ならびに課題を明確化することを目的に、受診勧奨により1年以内に受診した群と非受診群の2群に分けた上で、国保連の健診データを用いて、短期効果・長期効果分析を実施した。なお,受診勧奨の対象者は,原則(1)空腹時血糖126ml/dl(随時血糖200mg/dl)以上またはHbA1c(NGSP)6.5%以上,(2)eGFRが基準値(60ml/分/1.73平方m)未満の両方に該当する者である。 その結果、1)1年以内に受診につながったのは41.0%である、2)2014~2019年度の6時点の健診データ(HbA1c、血圧、eGFR、尿蛋白)の変化を分割プロットデザインによる分散分析により比較した結果、受診群でHbA1cの有意な改善が図られていることがわかった。 さらに、受診群の受診勧奨年度(ベースライン)と翌年度時点のeGFRの値を比較し、ベースライン時のeGFRが60以上の者を対象に、翌年度にeGFRが60未満になった者を「悪化群」、60以上であったものを「維持群」に分類し、2群間比較を実施した結果、悪化群では、ベースラインのBMIが有意に高い、eGFRが有意に低いことから、受診群に関してもベースラインのBMIやeGFR値に特に注意を払う必要があることが確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、受診勧奨による受診の短期・長期効果を分析するとともに、受診後の重症化を防ぐための方法論についても分析結果を公表しており、この点に関しては、ほぼ順調に推移していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
国保連のレセプトは後期高齢者医療保険制度と連結出来ておらず、これら対象者に対するアプローチが課題として残っている。本年度は、75歳以上高齢者へのアプローチ方法について研究する予定である。
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Causes of Carryover |
最終年度である2024年度では、後期高齢者の重症化予防のための方法論を検討するため、ヒアリング等に係る費用(旅費など)への支出を行う予定である。
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