2020 Fiscal Year Research-status Report
Pharmacoepidemiological study to investigate the characteristics and treatments in patients with rheumatic diseases using a large health insurance database
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20K10480
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Research Institution | Meiji Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
酒井 良子 明治薬科大学, 薬学部, 准教授 (30631981)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 関節リウマチ / 抗リウマチ薬 / 診療実態 / 地域格差 |
Outline of Annual Research Achievements |
厚生労働省から提供を受けた、ナショナルデータベースを用いて専門施設(専門医が勤務もしくは日本リウマチ学会の教育認定施設)の受診状況別、及び都道府県別の関節リウマチ(RA)治療薬処方実態を検討した。関節リウマチ患者を以下の条件に合致した患者とした。(1) 2017年4月から2018年3月までの間に、(2)RA診断に関するICD-10コードを有し、(3) 16歳以上で、(4) RA治療の疾患修飾性抗リウマチ薬(disease-modifying antirheumatic drugs、以下DMARDs)を2処方月以上有した。2017年度中のリウマチ専門施設の受診状況は、日本全体では、専門施設受診が1度もない患者の割合は31.8%、専門施設のみ受診した患者の割合は51.9%であった。2017年度に専門施設受診を一度もしなかった患者割合が全国の平均の10%以上高い県は12県、約25%であり、いずれも非大都市圏であった。都道府県別では専門施設のみ受診例と一度も受診がなかった例でメトトレキサート(methotrexate、以下MTX)の処方割合の差は比較的少なく、MTXがアンカードラッグであるという概念が浸透している可能性が示唆された。しかしながら、それぞれでのMTXの処方量は検討できず、これらの治療の妥当性は検証できなかった。一方、生物学的製剤は専門施設のみ受診した例では一度も受診がなかった例より処方割合は高かった。これらの処方の違いが妥当であるか否かの判断も、ナショナルデータベースには疾患活動性などのデータを格納していないためできなかったが、専門施設と非専門施設で行われているリウマチ診療に差がある可能性が示唆された。リウマチ専門医は大都市圏に偏在しており、治療格差につながっている可能性がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定していた、RA治療の診療格差に関する疫学研究を一通り実施し、学会にて成果を発表し、さらに論文として報告したため。
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Strategy for Future Research Activity |
全身性エリテマトーデス(SLE)の診療実態と合併症(脳心血管疾患、骨壊死)および院内死亡について解析を実施する。SLE患者および観察期間を同定するために傷病名およびSLEに適応を有する免疫抑制薬の処方データを用いて16歳以上のSLE患者を同定する。観察開始月は上記のSLEの定義を満たした最古月とし、観察終了はデータベースでの最終確認月までとする。経口副腎皮質ステロイド、免疫抑制薬の処方割合、ステロイドパルス療法やその他の治療の施行割合の経年変化を記述する。 脳心血管疾患の発現率およびリスク因子を同定するため、脳心血管疾患を入院中の傷病名(狭心症、心筋梗塞、脳梗塞、脳出血)と治療薬(血栓溶解薬、抗血小板薬など)または診療行為(経皮的冠動脈インターベンション、冠動脈バイパス手術、血腫除去術、コイル塞栓術など)を組み合わせて定義し、発現率(/1,000人年)を算出する。さらにこれらの合併症の発現に関連し得る因子を時間依存性Cox比例ハザードモデルなどの多変量解析を用いてリスク因子を同定する。 骨壊死の発現率および経年変化を検討するため、骨壊死を傷病名で定義し、2010年から2017年までの各年における骨壊死の発現率(/1,000人年)を算出し、ポアソン回帰分析を用いて2010年に対する各年の相対危険度を算出する。さらに、骨壊死の発現に関わる患者背景因子をロジステイック回帰分析を用いて検討する。 院内死亡については、入院歴のある患者の背景因子を記述し、入院を契機となった疾患の内訳をICD10コードで分類する。入院歴のある患者における院内死亡を確認した症例の人数と割合を算出したのち、院内死亡に関連のある患者背景因子をCox比例ハザードモデルで検討する。
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Causes of Carryover |
コロナ禍のため国際学会が全てweb開催になり旅費が発生しなかった。また、解析用パソコンを現状のものを利用した。今年度は論文作成後の英文校正費用や新たな解析用パソコンの購入等に用いる予定である。
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Research Products
(4 results)