2023 Fiscal Year Research-status Report
経時データを用いたDOHaD仮説に基づく生活習慣病の疫学的病態解明
Project/Area Number |
20K10496
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
玉腰 浩司 名古屋大学, 医学系研究科(保健), 教授 (30262900)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 出生時体重 / 糖尿病 |
Outline of Annual Research Achievements |
2002年から「生活習慣病とそれに続く心血管事故の予防を目的としたコホート研究」を開始し、2007年、2013年、2018年に新規対象者追加しながら生活習慣アンケートと健診データを蓄積してきた。本研究の対象者は2018年までの糖尿病発症の有無と年齢が各回のアンケートによって把握できている。2023年度はこのデータを使って、出生時体重と糖尿病発症との関連をコックス比例ハザードモデルと使って分析した。対象は男性5864名、女性2293名であった。出生時体重別の糖尿病発症率は、2500g未満群では観察期間33813人年中95名、2500g以上3000g未満群では197384人年中494名、3000g以上4000g未満群では182315人年中338名、4000g以上群では5752人年中12名であった。3000g以上4000g未満群を基準としたハザード比(95%信頼区間)は、2500g未満群は1.36(1.09, 1.71)、2500g以上3000g未満群は1.15(1.00, 1.32)、4000g以上群は1.40(0.79, 2.48)であった。性と父親の糖尿病歴と母親の糖尿病歴で調整すると、3000g以上4000g未満群を基準としたハザード比(95%信頼区間)は、2500g未満群は1.30(1.03, 1.63)、2500g以上3000g未満群は1.16(1.01, 1.33)、4000g以上群は1.21(0.68, 1.39)であった。最終モデルにおいて、性別との関連は、男性を基準とした女性のハザード比は0.60(0.52, 0.74)であった。また、父親の家族歴に関しては、無しを基準とした有りのハザード比は1.72(1.45, 2.04)、母親の家族歴に関しては、無しを基準とした有りのハザード比は2.42(2.00, 2.92)であった。 以上の結果より、自己申告ながら出生時から糖尿病発症までを追跡したと想定したデータセットにより、性別、糖尿病の家族歴にかかわらず出生時体重が低いことは糖尿病の発症するリスクが高いことが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2020年度と2021年度は、保存したDNAを使って、生活習慣病に関連する遺伝子のメチル化と出生時体重との関連を検討し、出生時体重が2500グラム未満の成人(35歳から59歳)では、ATP-binding cassette protein G1(ABCG1)遺伝子のメチル化率が高い傾向があることを明らかにした。一方、suppressor of cytokine signaling 3(SOCS3)遺伝子のメチル化率は出生時体重との間に有意な関連はみられなかった。2022年度は、繰り返し行ったアンケート調査結果を使って出生時体重の回答に関する再現性の検討を実施し、高い再現性があることを明らかにした。2023年度は、2002年、2007年、20013年、2018年に実施した生活習慣アンケートと生化学データを統合したデータセットを用いて、自己申告ながら出生時から糖尿病発症までを追跡したと想定したデータセットにより、性別、糖尿病の家族歴にかかわらず出生時体重が低いことは糖尿病の発症するリスクが高いことを明らかにした。DOHaD仮説に基づく生活習慣病の疫学的病態解明に必要な研究成果は、順調に蓄積されている。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年からは、2002年、2007年、20013年の経時データとしてBody mass index (BMI)、空腹時血糖、中性脂肪、高密度リポプロテインがあり、出生時体重とこれらのデータとの関連を混合モデルと用いて分析する。特に、出生時体重がBMIの変化にどのような影響を及ぼし、その影響がさらに空腹時血糖、中性脂肪、高密度リポプロテインの変化に影響を与えるかを検討する。また、2023年度に明らかにした性別、糖尿病の家族歴にかかわらず出生時体重が低いことは糖尿病の発症リスクが高いという関連が、生後成人期の肥満、喫煙、飲酒によってどのような影響を受けるか検討していく。具体的には、出生時体重を2500g未満群、2500g以上3000g未満群、3000g以上4000g未満群、4000g以上群の4群に分け、各対象者の2007年、2013年、2018年の年齢を算出し、さらに各年齢でのBMIを用いて、出生時体重を含めた出生時からのBMIの経時データセットを作成する。その後、このデータセットを用いて、出生時体重の成人期BMIの変化に対する影響、さらには出生時体重に成人期BMIの変化を考慮して糖尿病発症との関連を明らかにする。喫煙、飲酒についても同様に分析する。
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Causes of Carryover |
2023年度は、新規に購入したパソコンに加えて、従来から所有していたパソコン並びに統計解析ソフトを用いて分析を進めていたため、それ以上の環境整備に研究費を費やす必要はなかった。しかしながら、従来からのパソコンは旧型で老朽化も進み、計算速度も研究の進行を妨げるほどに遅くなっている。期限内に有益な成果を生むためにも、経時データセットの作成、保管、解析に必要な高スペックのパソコン、統計解析ソフト等の環境整備に努める。
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Research Products
(1 results)
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[Journal Article] Nonrestorative Sleep and Type 2 Diabetes Incidence: the Aichi Workers' Cohort Study.2024
Author(s)
Lin J, Song Z, Li Y, Chiang C, Hirakawa Y, Nakano Y, Hong YJ, Matsunaga M, Ota A, Tamakoshi K, Yatsuya H.
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Journal Title
Journal of Epidemiology
Volume: -
Pages: -
DOI
Peer Reviewed