2020 Fiscal Year Research-status Report
母子手帳を活用したカネミ油症の次世代への影響に対する継続的検討
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20K10504
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
小屋松 淳 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 客員研究員 (90714212)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前田 隆浩 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 教授 (40284674)
古江 増隆 九州大学, 医学研究院, 教授 (70134583)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 母子健康手帳 / カネミ油症 / ダイオキシン類 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はダイオキシン類の世代間の影響を母子健康手帳(母子手帳)を用いた母子保健の視点から評価を行い、今後のカネミ油症患者とその次世代への適切な支援体制の構築を目指す基盤研究です。カネミ油症の患者およびその家族の周産期から主に学童期までの健康に関する情報を母子手帳の記載から抽出し、乳幼児健康診査(乳幼児健診)などの結果をもとに、カネミ油症患者およびその家族の発達発育状況を一般の集団と統計学的な比較検討を行うことを目指しています。この研究デザインにおいては統計学的な有意性を確保するうえで、研究協力者(母子手帳の貸与を承諾して頂く方)を多く募ることが必要であり、今年度においては研究協力者の募集およびそれにつながるシステムの構築を行いました。具体的には研究のメインフィールドである五島市と長崎大学医歯薬学総合研究科とで本研究における協力協定を締結し、同市の国保健康政策課に勤務している油症専門員(看護師)との協同が可能となりました。また、同市内の長崎県五島中央病院に開設されている油症専門外来(皮膚科および内科)との連携が可能となり、より効果的な本研究への協力依頼も可能となっています。今年度は新型コロナウィルス感染症の影響による面会等の制限もあったため、当初の目標には届かないものの、36名の新規での貴重な母子手帳の情報を得ることができ、次年度につながっていくものと考えられました。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究における研究協力の依頼や母子健康手帳の貸与が対面での手続きを前提としていたため、新型コロナウィルス感染症の影響による移動や面会の自粛が、研究協力者を得るうえで支障となってしまいました。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は前述の理由により研究協力者を得ることが困難でしたが、五島市や長崎県五島中央病院との連携体制も確立され、新型コロナウィルスに伴う面会等の制限が緩和されれば、今まで以上に多くの研究協力者を得ることが期待できると考えられます。そのため、引き続き研究協力者を得るための活動を行いつつ、50例前後のデータが集まった時点で中間解析と研究へのアセスメントを実施して継続していく方針です。当初の予定にはありませんでしたが、新型コロナウィルス感染症流行の状況を踏まえ、研究協力者の方との面会や情報収集において、Zoom等を用いたWEB面談など、社会的情勢を踏まえた研究方法にも取り組んでいく予定です。また、そのためのタブレット末端や通信環境の構築も行う予定です。
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Causes of Carryover |
本研究が研究協力者の方への対面での面会を前提としているため、想定していた旅費等の発生が少ないことが主な理由です。また、前述の理由により、研究の進捗状況に軽度の遅れが生じたため、データ整理等に係る人件費も当初の予定よりも少なくなっています。目標としている研究協力者の数が得られなかったことが差額が生じた理由ですので、今後に研究協力者が得られれれば、面会等の交通費、母子健康手帳の郵送等にかかる費用、データ整理の人件費などの本来の使用予定に充てる予定です。また、タブレット末端などの対面以外での研究協力者とのコミュニケーションツールの導入を行い、対面しなくても研究の推進が可能となるような環境整備にも使用していきたいと考えています。
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