2020 Fiscal Year Research-status Report
Causal inference between the NKG2D-ligand expression and the human phenome
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20K10509
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
須藤 洋一 岩手医科大学, いわて東北メディカル・メガバンク機構, 特命助教 (50810561)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 免疫 / がん / 因果推論 / 関連解析 / ゲノムコホート |
Outline of Annual Research Achievements |
DSとがんやその他の疾患との因果関係を見るにあたり、まず、研究手法の妥当性・有効性を検証するため、公開されている表現型またはDSの遺伝子発現と、遺伝子型との間の関連解析結果にメンデル無作為化法を適用し、関連性を解析した。その結果、特定のがんを含むいくつかの疾患について有意な関連性を検出し、計画されている研究手法の妥当性・有効性が確認できた。 並行して、東北メディカル・メガバンク計画における参加者のゲノム・コホート情報を利用するため、倫理申請を含む必要な手続きを行い、研究の遂行に必要な承認を得るとともに、研究を開始するにあたって必要なすべての手続きを完了した。 東北メディカル・メガバンク計画で既に行われた遺伝子発現解析とゲノム解析データにアクセスし、DSの遺伝子発現量に関するデータを抽出し、これと対象者の遺伝子型との間で関連解析(eQTL解析)を行った。また、今回対象とするがんやその他の病気についても同様に遺伝子型との間で関連解析(PheWAS解析)を行い、結果を集約した。これら2つの関連解析結果から、対象とするDS及び疾患を選抜し、メンデル無作為化法を適用して解析した。その結果、いくつかの疾患について有意な関連性が見られたため、解析の条件や対象集団を変えて複数回解析し、同様の結果が再現されることを確認した。 それに加えて、今回得られた結果について、さらに独立した対象集団を用いて結果を確認するため、その集団のデータを用いるために必要な計画変更等の手続きを進めている。加えて、より結果の信頼性を高めるべく、DSの遺伝子発現量データについても異なる対象集団で新規に取得することを計画し、必要な試薬や解析手法の選択を行った。これまでに得られたメンデル無作為化法による解析結果等は論文にまとめ執筆した。追加の解析結果が確定次第、これらを盛り込み、速やかに投稿するべく準備を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予備解析を行うとともに、研究開始に必要な諸手続きを完了した。加えて、当初予定していたeQTL解析、PheWAS解析に関しては既に完了し、メンデル無作為化解析についても完了している。既にある程度まとまった結果が得られており、論文執筆も行われた。現段階で行っていることは、これまでに得られた結果を他集団で確認し、これまでに得られている結果が及ぶ範囲を確定する作業である。 一方で、海外渡航の制限や移動の自粛が励行された影響で、学会参加などは見送られており、今年度計画していた学会報告などは行われなかった。また、今後計画していた解析に想定以上の資金が必要になる可能性など、不確定要素が生じたことから、今年度計画していた物品購入等は制限した。 以上総括し、部分的な変更点はあったものの、研究そのものは概ね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
現在遂行している独立した他集団でのデータアクセスが可能になり次第、解析を開始し、これまでに得られた結果との比較を行う。加えて、発現解析についても新たなデータを加え、より確実性の高い結果を得る。これらを行った後、論文を完成させ、投稿する。移動の自粛などに伴う発表機会等の減少や、必要な物品の価格変更や納期の遅延などの不確定要素は想定されるものの、現時点で研究遂行上、大きな課題となっている問題は特に存在しない。
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Causes of Carryover |
感染症流行による移動の制限により、計画していた学会の参加が取りやめになった。スーパーコンピュータの年間利用料は、管理団体の判断により、本研究については無償となった。解析用コンピュータの購入を計画していたが、購入予定のコンピュータの価格や構成の改定が生じたため、昨年度の購入は一時見合わせた。今後の解析での要求性能と価格を考慮し購入を検討する。
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