2020 Fiscal Year Research-status Report
The effects of short-term exposure to particulate matter on cardiovascular event
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20K10511
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Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
苅田 香苗 杏林大学, 医学部, 教授 (40224711)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 正雄 杏林大学, 医学部, 准教授 (10296543)
苣田 慎一 杏林大学, 医学部, 助教 (90639791)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | PM2.5 / 循環器疾患 / 救急搬送 / 院外心停止 / 大気汚染物質濃度 |
Outline of Annual Research Achievements |
心臓血管系の急性イベントに対する大気中粒子状物質の短期曝露影響を検討するため、本年度は、循環器患者の24時間ホルター心電図データと大気汚染物質のモニタリングデータを収集し、データセットを作成した。 また、日本全国規模の救急蘇生統計に基づく調査において、大気中PM2.5濃度と院外心原性心停止との関連性を示唆する研究結果が2020年度に公表されたため(JAMA Network Open 2020)、東京都内近年の循環器系関連の急患数と大気汚染物質濃度の推移を調べ、傍証となる現象が見られるのか検討を行った。すなわち、2015~2020年の東京消防庁の救急活動統計及び東京都一般大気環境測定局(47局)と自動車排出ガス測定局(35局)の実測データを収集し、循環器系救急搬送率と大気汚染6物質濃度の年間推移を調べた。さらに三鷹市内三次救急指定病院の院内統計に基づく循環器疾患の月平均急患件数と、病院周囲5km以内にある測定局5箇所での各大気汚染物質の週/月平均値を算出し、相関分析を行った。調査の結果、心/循環器疾患の急病搬送者率は5.8%(2015年度)→5.4(2019年度)%、脳血管疾患救急搬送率は5.2→4.6%、心停止急病者率2.8→2.5%、心原性確定心停止急病者率0.31→0.28%といずれも年々減少傾向であった。近年5年間で低下傾向が見られた大気物質はNO2とPM2.5のみであった(傾向性検定p<0.05)。救急病院周辺の一般大気環境測定局のPM2.5月平均値と各月の循環器急患数との間には有意な正の相関関係が見られたが、NO2 、SO2、SPM、CO、Ox濃度との間には同様の関連は見られなかった。現在、気象データや他の交絡因子および時間/日平均値を含めた解析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウィルス感染症の拡大により、病院内での診療録情報へのアクセスと生理検査室立ち入りの機会が制限されたことを受け、循環器患者の心電図データと患者情報データの取得および患者心血管イベントの抽出作業が遅れた。
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Strategy for Future Research Activity |
研究分担者と研究補助員の協力体制を整え、心臓血管系の急性イベントに対するPMの短期曝露影響を調べるための後ろ向き調査の集計・解析を次年度以降に実施する。 すなわち、収集した心電図モニタリングデータから心血管系急性イベントを抽出するとともに、大気環境測定各局のPMレベル時間値・日平均値を入力・集計し、心房細動等のイベント発症の際に、当日か数日前のPM曝露が引き金となっているかについて解析を行う。診療録・生活記録調査票から得られた交絡リスクファクター(喫煙・飲酒、職業、身体活動、高血圧・糖尿病等の既存疾患、服薬ほか)を調整した上で、SPM, PM2.5曝露による循環器系急性イベント影響に関する検証を推進する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルス感染拡大の影響を受け、研究計画の遂行に遅れが生じ、入力作業などの研究協力依頼ができなかったため謝金は支払われなかった。 また、研究打ち合わせ会議と参加予定の学会が延期やオンライン開催となったため、旅費が不要となった。
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Research Products
(2 results)