2021 Fiscal Year Research-status Report
Establish guidelines for the proper use of chemical protective gloves to prevent health problems from dermal absorption
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20K10521
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Research Institution | National Defense Medical College |
Principal Investigator |
岩澤 聡子 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, 衛生学公衆衛生学, 講師 (10570369)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮内 博幸 産業医科大学, 産業保健学部, 教授 (90784025)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 経皮吸収 / 保護具 / 化学物質 / リスクコミュニケーション / 透過性 |
Outline of Annual Research Achievements |
手袋内側への物質の実用的な透過状況検知法の開発を行い、企業の安全衛生担当者向けの成果報告会を開催した。 化学物質を取扱っている多くの事業場では、化学防護手袋(以下、手袋と略す)の透過時間を考慮しないで選定、同一手袋の長期間の使用等により、作業者は手袋を装着していても化学物質による経皮吸収曝露が危惧される。実際の化学物質取扱い作業場における手袋の使用状況をふまえて、手袋の選定や交換時期等を決めることが重要である。 本研究では、手袋の化学物質による透過を把握して選定するための基礎的な研究として、1.手袋内へ透過した試験物質量を測定する手法の検討として、実際の作業場における化学防護手袋の透過状況の調査 2.簡易的な手袋への試験物質の劣化を確認する方法の検討として、オルトトルイジン等低揮発性有機溶媒を対象とした経皮吸収防止のための化学防護手袋の選定における耐劣化性能の検討 3.手袋素材に試験物質を滴下する透過部とガス検知器を用いて手袋素材から透過する物質を検知する方法の検討 4.化学防護手袋の透過性についてのオンライン講演会を開催し、参加者に対してアンケ-トを実施した。化学防護手袋使用に関しての困りごとにつては、作業性、コスト、教育展開方法、情報不足、試験評価方法、指針を望むなどの意見があった。実際の作業現場にて使用されている化学物質に対する簡易な透過試験方法の開発が望まれている。さらに、現場の作業者にわかりやすく啓発することが求められている結果であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究のゴールは、手袋内側への物質の実用的な透過状況の検知法の開発し、これを踏まえて手袋の適正使用に結びつく指針構築を目標とする。 令和3年度は、関係学会でこれまでの成果を報告し、手袋メーカー、ユーザー、行政の間で意見交換の場を設定し、手袋の適切な使用をするために情報共有を行った。また、意見交換の場への参加者アンケートにより、実態把握を行った。市販手袋について構築しているデータベースの有効性を示し、これにより今後の化学物質の自律管理推進に向けて基礎資料を提供した。 手袋内側への物質の実用的な透過状況の検知法の開発に関しては、手袋内へ透過した試験物質量を測定する手法の検討を行った。本研究では、製造現場において実際に使用されている状況下において、防護手袋の内外にサンプラ-を装着し、使用されている物質の手袋内外濃度を測定した。その結果を踏まえて、適正な手袋の選定、使用、交換(廃棄)時期を考慮する基礎資料を作成することを目的とした。なお、産業医科大学の倫理委員会にて承認を得て行った(第R2 004号)。本研究では開発されたシ-ト状サンプラ-を用いて、実際の作業者の使用している状況下における手袋内の透過状況を測定した。その結果、使用している手袋の内部からも対象物質が検出され、透過している状態であった。さらに耐透過性を有する材料の手袋、または交換頻度を考慮する必要があると思われた。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度は、令和3年度までの調査結果をふまえ、企業の安全衛生担当者とコミュニケーションをとり、現場で必要とされている対象物質や使用の状況を増やして、実験室と作業現場における調査を継続し、本研究のゴールである、手袋内側への物質の実用的な透過状況の検知法の開発、および、これを踏まえて手袋の適正使用に結びつく指針構築を目標の到達を目指す。このなかで、化学物質の透過性について、各種素材の手袋と化学物質のクロス表の作成や、化学防護手袋の着用遵守のための教育マニュアル(経皮吸収の実態、メカニズムの説明、着用時間と透過性、着脱手技、管理の仕方)の開発にも着手したい。
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Causes of Carryover |
効率的な物品調達および出張による対面会議からオンライン会議への変更により、予定額よりも少ない金額で研究を進めることができたため、次年度使用額が生じた。翌年度分として請求した助成金と合わせ、実際の作業現場で必要とされている対象物質の種類や使用の状況を増やして、実験室と作業現場における調査を継続する。
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