2020 Fiscal Year Research-status Report
酸化バランススコアと生活習慣病バイオマーカーに関する職域疫学研究
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20K10547
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Research Institution | National Institutes of Biomedical Innovation, Health and Nutrition |
Principal Investigator |
南里 妃名子 国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所, 国立健康・栄養研究所 身体活動研究部, 室長 (20612435)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 酸化ストレス / 慢性疾患 / 生活習慣病 / 炎症性マーカー / 酸化バランススコア |
Outline of Annual Research Achievements |
体内の酸化反応と抗酸化反応の均衡が崩れ、酸化ストレスが高まると、慢性炎症リスクを上昇させることが報告されている。本研究は、生活習慣因子(食事や喫煙など)とバイオマーカーを用いて酸化ストレスに関与する酸化促進因子と抗酸化因子をスコア化することで体内の酸化ストレス状態を評価し、生活習慣病バイオマーカーとの関連を明らかにすることである。 炎症性バイオマーカーである高感度CRPは、酸化促進因子である喫煙や飲酒により上昇し、ビタミンCやポリフェノールなどの抗酸化因子により低下することが報告されている。しかしながら、これらの関連は、単一の要因による影響に限られており、酸化ストレスに関わる要因を複合的に考慮して高感度CRPと検討した研究はない。そこで、酸化ストレスに関与する酸化促進因子と抗酸化因子を用いて酸化バランススコア(Oxidative balance score: OBS)を作成し、高感度CRPとの関連について、日本多施設共同コホート研究(佐賀地区)ベースライン調査の参加者9706名(男性3902名、女性5804名)のデータを用いて検討した。栄養素摂取量は、エネルギー摂取量を調整し、抗酸化因子8因子と酸化促進因子5因子を組み合わせて各個人のOBSを算出した。その結果、男女ともにOBSが高いほど高感度CRPが有意に低下する傾向を認めた高感度CRPに非常に強い影響をもつ喫煙やBMIをOBSから除外した解析においても同様の傾向がみられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、個人における酸化-抗酸化バランスを反映するOBSを作成し、生活習慣病バイオマーカーとの関連を明らかにすることを目的としている。今年度は、研究実施計画の1つである炎症性バイオマーカーCRPとの関連を検討した。また、現在、OBS関連の論文およびOBSに包含される因子と生活習慣バイオマーカーに関する論文についてレビューを実施している。
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Strategy for Future Research Activity |
OBSと高感度CRPとの関連において作成したOBSの妥当性を検証し、OBSに包含される因子の決定および、各因子の重み付けを決定する。妥当性検証には、酸化ストレスマーカーの1つである尿中8-OHdG(8-hydroxy-2'-deoxyguanosine)約8000名のデータを用いて行う。 妥当性が確認されたOBSを用いて炎症性マーカーであるCRPとの関連について再解析を行い、その結果をもとに論文を作成し、公表する。また、脂質代謝や糖代謝との関連についても検討を行う予定である。
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Causes of Carryover |
当該助成金採択後、6月1日に国立国際医療研究センターから国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所へ所属が変更となり、移管手続きに時間を要した。今年度、科研費が使用できた期間は約半年(9月中旬から2月末)であったため、次年度使用額が生じた。次年度には、解析、及び得られた成果の公開を行うべく、学会発表、論文作成に伴う英文校正費、投稿費等に使用する。
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