2020 Fiscal Year Research-status Report
新規向精神薬の脳内取り込み様式と脳内報酬系における毒性形成機構の神経科学的解明
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20K10549
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
清水 惠子 旭川医科大学, 医学部, 教授 (90312462)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥田 勝博 旭川医科大学, 医学部, 助教 (00389115)
浅利 優 旭川医科大学, 医学部, 准教授 (40360979)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ジフェニジン / 危険ドラッグ / マイクロダイアリシス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、ジフェニジン誘導体である、未規制の新規向精神薬4-メトキシジフェニジンの 血液脳関門通過様式と、脳内報償系(中脳辺縁系ドパミン作動性神経系)における依存毒性形成機構をin vivoブレインマイクロダイアリシス法を用いた神経科学的手法により解明し、併せて死亡に繋がる毒性を評価し、法医診断学上の貢献及び治療法の検討を介した社会貢献を目的とする。 まず、ジフェニジン誘導体が脳内報酬系を刺激し、依存症を形成する可能性について検討を行った。Slc:Wistar/ST系雄性ラットに麻酔下で透析プローブを側坐核に埋め込み、翌日無麻酔・無拘束下で透析を開始し、15分毎にHPLC/ECDに自動注入してノルエピネフリン、ドーパミンおよびセロトニンの定量を行った。その後、ジフェニジン誘導体である4-メトキシジフェニジンを10または20 mg/kgとなる様に腹腔内投与し、定量を続けた。同時に赤外線センサーによる自発的運動量の解析を行った。さらに、透析液中のジフェニジン誘導体濃度をLC-MS/MSによって検出することで中枢以降の経時変化を検討した。 ジフェニジン同様に投与直後からの自発的運動量の増加と脳内ドーパミンおよびノルエピネフリンの濃度上昇が観察された。しかし、ジフェニジンと比較してその影響は限定的で、10 mg/kgでは反応が認められない時もあった。透析液中からジフェニジン誘導体は検出され、血液脳関門を通過して脳内で直接作用することが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス蔓延による新規実験の中止や、大学動物実験施設の全SPF化への移行期間が重なり、ラットの購入が煩雑となる時期があったため、予定よりもマイクロダイアリシスの施行回数が少なくなった。
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Strategy for Future Research Activity |
血液脳関門通過様式の解明について、各種阻害剤や競合物質を用いながらジフェニジン誘導体の脳内取り込み量を評価し、その通過様式が受動拡散であるのか、何らかの輸送担体を介しているのかを明らかにする。さらにNMDA受容体阻害剤等も同様に検討する。また、線条体や前頭前野大脳皮質におけるモノアミンの変化も検討し、より詳細なメカニズム解析を試みる。
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