2020 Fiscal Year Research-status Report
DNA鑑定に最適な硬組織の部位選定のための定量解析に関する研究
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20K10552
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
浅村 英樹 信州大学, 学術研究院医学系, 教授 (80324250)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 紀子 信州大学, 学術研究院医学系, 助手 (00649254)
塩崎 哲也 信州大学, 医学部, 助教(特定雇用) (00722018)
小林 寛也 信州大学, 学術研究院医学系, 助教 (00826886)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | DNA多型 / 硬組織 / 劣化 DNA 試料 / DNA 回収量 |
Outline of Annual Research Achievements |
硬組織試料はDNA 鑑定が最も困難であるが、 DNA 保存状態が良好で DNA 回収量が多い部位の特定等について科学的な根拠を得るべく研究を計画し、今後の硬組織を対象とした DNA 鑑定における最適な試料を明示することを目的とした研究を遂行している。 白骨化した御遺体の複数箇所から試料を採取し、短鎖と長鎖の鋳型 DNA の定量検査を行うことで DNA の保存状態(劣化程度)、DNA 回収量の測定を行い、これを多数の御遺体について分析することで、どの部位が DNAの保存状態が良好で DNA 回収量が多いかを明らかにすることができる。 1 個体から採取した頭蓋底錐体部・大後頭孔辺縁・上腕骨骨幹部・腓骨・橈骨・中手骨・基節骨・中節骨・大腿骨骨幹部等の骨片を、各々ブロック・スライス・パウダーの形状にした。抽出は ProFiler BTA Forensic DNA Extraction Kit・QIAamp DNA investigator Kit の2種類の試薬を用いて行い、定量試薬は Quantifiler HP DNA Quantification Kit とし、分析機器は QuatStudio 5 Real-Time PCR System を使用し、解析試薬は GlobalFiler PCR Amplification Kit を用いた。 現在までの結果として、指骨から高濃度の DNA が得られる傾向が明らかとなった。従来から DNA 分析に適しているとされていた大腿骨や錐体からの DNA 抽出効率は指骨に比べるとそれほど高くなかった。検討試料数を増やし、さらに検討したい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
短鎖と長鎖の鋳型 DNA の定量検査による DNA の保存状態(劣化程度)、DNA 回収量の測定(含有 DNA の定量)といった実験系の作成に成功し、十分な分析評価ができているため。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までの指骨が DNA 分析に有効であるという結果を実証するため、現在の実験系を用いて、より多くの検体について評価する予定である。さらに、分析試料の形状について、ブロック形状と粉末形状等との比較を行い始めているが、必ずしも見た目の溶解度と DNA の回収率に相関はみられず、脱灰処理中の DNA の物理的な喪失が関与している可能性も示唆され、排液の DNA 定量検査等を行なって検討する。また、脱灰処理と PK による可溶化処理を同時に行なった場合の抽出効率等についても、これまでの実験系を用いて詳細に検討し、より最適な硬組織の DNA 抽出・分析法を確立していく。
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