2022 Fiscal Year Annual Research Report
樹状細胞サブセットを指標とする皮膚損傷受傷後経過時間判定法の確立
Project/Area Number |
20K10560
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
國中 由美 和歌山県立医科大学, 医学部, 特別研究員 (60843282)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 受傷後経過時間 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,実験動物であるマウスモデルによる基礎的研究と法医解剖事例で得た受傷後経過時間が判明しているヒトの皮膚損傷試料による実務的研究を組み合わせた包括的研究である.基礎的研究ではマウス皮膚損傷モデルを用いて経時的に損傷部を採取し,治癒過程で出現する全DCとその各DCサブセット(形質細胞様DCや抑制性DC等)について,複数の抗体を組み合わせ免疫組織化学的および分子生物学的に検出して,その時間的・空間的出現様態を明らかにする.これらの基礎的研究結果に基づいて,実務的研究では法医剖検例から採取した受傷後経過時間の判明している皮膚損傷試料について,蛍光多重免疫染色によりDCの検出を行う.基礎的研究と実務的研究の結果を総合し,DCの出現様態を受傷後経過時間との関連性を統計的に解析して既存の指標を用いた診断法と比較検討することにより,法医実務に応用可能な総DCおよびそのDCサブセットを指標とする新しい受傷後経過時間判定法を確立する. マウスをペントバルビタール(50 mg/kg,腹腔内投与)により麻酔し,剃毛した背部皮膚に直径4 mmの打ち抜き損傷を作製した.損傷作製後経時的にマウスを頚椎脱臼により安楽死させ,損傷部組織を採取した.対照試料は損傷を作製していないマウスの正常皮膚より採取した.経時的に採取した皮膚損傷部を用いて,パラフィン包埋切片を作製し,各切片について,DEC205に対する抗体を用いて総DCを検出した.顕微鏡下(×200)1視野におけるDEC205陽性樹状細胞数を検討したところ,受傷後6日目で最も多数であった. マウスを用いた実験を行うとともにヒト剖検試料の収集に努めることを目標としており,概ね順調に進展している.応募者らは剖検試料収集についてはすでに開始しており,効率的に研究を進めることができる.予備的実験として,ヒト試料を用いた蛍光二重免疫染色により,CD11c陽性HLA-DRa陽性の樹状細胞を検出することに成功した.
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