2021 Fiscal Year Research-status Report
T-tubule remodeling and calcium handling dysfunction in fatal cardiac hypertrophy
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20K10565
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
垣本 由布 東海大学, 医学部, 准教授 (40734166)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 心臓性突然死 / 心肥大 / 心臓組織 / ウエスタンブロッティング / 質量分析 / 死後変化 / 微小管 / Tubulin |
Outline of Annual Research Achievements |
致死性心肥大のなかでも冠状動脈硬化のない高血圧性心不全4例と外因死した代償性心肥大3例の心臓組織から細胞膜成分を抽出し、電気移動を行い分子量ごとに5分画に分けた後タンパク質質量分析を行った。合計で1545タンパク質が同定され、コンタミと思われるケラチン由来のタンパク質を除いた1524タンパク質について群間比較を行った。 2群間で発現量が1.5倍以上有意に異なったタンパク質は47種あったが、細胞膜よりも細胞質に由来するタンパク質の方が多く、また全体的に発現量は低かった。さらに、この47タンパク質には、当初想定していたイオンチャネルに直接関連するタンパク質は含まれなかった。細胞膜タンパク質は細胞質タンパク質に比べて微量であるため、細胞膜分画に細胞質成分が混入すると大きな影響を受ける。今回の結果は、質量分析前の細胞膜成分の抽出効率が低かったためと考えられた。 47タンパク質のなかでは、致死性心肥大でα-Tubulin由来のタンパク質が約1.5-2.9倍増加しており、微小管重合化とそれに伴うT細管の配列異常の可能性が示された。しかし、ウェスタンブロットでは、複数の抗体を用いてもα-Tubulinとβ-Tubulinのいずれも理論値(50kDa)の半量(25kDa)のバンドのみが検出され、その発現量に群間差はなかった。また、ホルマリン固定組織と凍結組織を用いた染色では、Tubulinの変動やT細管の構築を確認することができなかった。以上から、TubulinやT細管の分析は、死後変化の影響を受けやすく、死亡直後に検体採取が行えない法医解剖検体では分析が困難であると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
心臓組織から膜タンパク質を抽出し、更に5分画に分離して質量分析を行ったが、膜タンパク抽出効率が低く、当初標的としたイオンチャネルの発現量の差を検出することができなかった。また、前処理段階数が多いこともあり、最終的なコンタミ成分が多くなり、サンプル間の十分な比較解析が行えなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
今回の質量分析の結果を踏まえ、次回は細胞膜と細胞質の分画は行わず、心臓組織の抽出液をショットガン解析し、死後検体中でも安定して検出できる発現量の多いタンパク質を解析する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症のため学会がオンライン開催になるなど出張経費等が減額したため繰越金が生じた。次年度は追加の質量分析や免疫染色を予定しているため消耗品の追加購入を行う。
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