2020 Fiscal Year Research-status Report
依存形成抑制メカニズムとしての内因性カンナビノイドシステムの可能性の検討
Project/Area Number |
20K10567
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
越智 拓 藤田医科大学, 医学部, 助教 (70527704)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | エンドカンナビノイド / ニューロン / グリア / SHSY5Y細胞 / U87細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、培養細胞モデルを用いて、神経細胞やグリア細胞に存在するエンドカンナビノイドシステムにおける逆行性シナプス伝達抑圧機構が、脳内報酬系に対し抑制効果を発揮するか否かについて、ヒト由来培養細胞を用いて検討するものである。 初年度は、研究対象として用いる培養細胞(ヒトニューロブラストーマ細胞株(SHSY5Y細胞)およびヒトアストロサイトーマ細胞株(U87細胞))について、これらの細胞の基底状態におけるエンドカンナビノイドシステム関連因子の発現状況を確認するとともに、先行研究において認められた、アストロサイトのモデル細胞であるラットグリオーマ細胞株(C6細胞)におけるエンドカンナビノイドシステム関連因子の遺伝子発現変化が、U87細胞においても再現されるか否かについて検証した。 まず、SHSY5Y細胞およびU87細胞ともに、エンドカンナビノイドシステムを構成する一連の因子として、カンナビノイドレセプターCB1の発現を、エンドカンナビノイドであるアナンダミドの代謝に関与するNAPEPLDおよびFAAHの発現を、エンドカンナビノイドである2-アラキドニルグリセロールの代謝に関与するPLCβ4、DAGLα、MGLLの発現を認めた。また、U87細胞におけるこれらの因子のうち、一部は先行研究においてC6細胞で認められた発現変化と同様の変化を示すことが確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、ヒト由来の神経細胞のモデルであるSHSY5Y細胞とアストロサイトのモデルであるU87細胞におけるエンドカンナビノイドシステム関連因子の基底状態における発現状況を確認するとともに、先行研究で認められたラット由来のアストロサイトモデルのC6細胞において認められたエンドカンナビノイドシステム関連因子の発現変化と、ヒト由来のU87細胞における同因子の発現変化とを比較することで、相同的な変化を示す因子を特定することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度にて確認された起源生物種の差異に依らず、同様の発現変化を示すエンドカンナビノイドシステム関連因子について、アストロサイトにおけるエンドカンナビノイドシステムが機能するための普遍的なキー因子と捉え、その因子群と報酬系機能の関連性につて検討を進める。また、プライマリー培養細胞における発現変化も併せて確認することで、正常細胞でのエンドカンナビノイドシステムと報酬系機能の関係について検証する予定である。 また、C6細胞におけるドーパミン処理に由来するエンドカンナビノイド関連因子の発現変化に寄与する細胞内シグナル伝達機構について検証することで、エンドカンナビノイドシステムと報酬系の分子基盤を明らかにする。
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Causes of Carryover |
研究計画書に基づき、研究活動に必要な物品を購入してきた。研究期間全体を通して、研究の進捗状況に合わせ、研究費を使用する予定である。
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