2021 Fiscal Year Research-status Report
依存形成抑制メカニズムとしての内因性カンナビノイドシステムの可能性の検討
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20K10567
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
越智 拓 藤田医科大学, 医学部, 助教 (70527704)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | カンナビノイド / グリオーマ / ネクローシス / アポトーシス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、培養細胞モデルを用いて、内因性カンナビノイドシステムと脳内報酬系との関連性を明らかにすることを目的としている。 これまでは、グリア細胞や神経細胞における内因性カンナビノイドシステムの機能を規定する要因として、内因性カンナビノイドシステム関連因子の発現状況や内因性カンナビノイドの産生能に着目し、これらに影響を与える因子の探索とその作用機序を中心に検証してきた。本年度は、本研究で用いている培養細胞モデルに対する各種カンナビノイドの影響について検証した。 グリア細胞のモデルであるC6細胞に対し、内因性カンナビノイド(2-AG、AEA)および植物性カンナビノイドであるカンナビジオール(CBD)で処理した後、細胞形態の変化を観察するとともに、LDHアッセイおよびCCK8アッセイにて細胞毒性を評価した。カンナビノイド処理後の形態変化として、2-AG処理では顕著な形態変化は認められなかったが、AEA処理では細胞の膨張を認め、CBD処理では細胞の収縮が顕著となった。またカンナビノイド処理による細胞毒性の評価では、2-AG処理では細胞生存率および細胞傷害率ともに顕著な変化は認められなかったが、AEA処理では、細胞生存率が急減するとともに細胞傷害率が急増し、CBD処理では細胞生存率は急減したが細胞傷害率は漸増した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度までは、培養細胞における内因性カンナビノイドシステム関連因子に対して影響しうる因子の探索や、その作用機序を中心に検証してきたが、本年度は培養細胞に対するカンナビノイドの影響を細胞毒性の観点から検証した。内因性カンナビノイドである2-AGに顕著な細胞毒性を認めなかったが、別の内因性カンナビノイドであるAEAおよび植物性カンナビノイドであるCBDでは細胞毒性を認めた。また、それぞれのカンナビノイド処理に起因して認められた細胞の変化から、それぞれの細胞毒性発現に関与するメカニズムとして、AEAではネクローシスの関与が示唆され、CBDではアポトーシスの関与が示唆される。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究にて、カンナビノイドにはグリオーマ細胞に対し、AEAの場合はネクローシスにより細胞死を誘導することが示唆されたのに対し、CBDの場合はアポトーシスにより細胞死を誘導することが示唆された。これらカンナビノイドを介した細胞毒性が腫瘍細胞に対し、より効果的かつ限定的に誘導することができれば、カンナビノイドによる処理が難治性腫瘍であるグリオーマに対する画期的な治療法となる可能性がある。今後、他種由来のグリオーマ細胞株や正常細胞に対する影響について確認することで、カンナビノイドの抗腫瘍活性の証明を試みるとともに、その詳細な作用機序についても明らかにする予定である。
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Causes of Carryover |
研究計画に基づき、研究遂行に必要な物品を購入してきた。研究期間全体を通じ、研究の進捗状況に合わせ、研究費を使用する予定である。
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