2023 Fiscal Year Annual Research Report
Development of LC-MS/MS analysis method for drugs and poisons in blood using a new pretreatment method and examination of its evaluation method
Project/Area Number |
20K10568
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Research Institution | Aichi Medical University |
Principal Investigator |
小川 匡之 愛知医科大学, 医学部, 准教授 (50559937)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 除タンパク・リン脂質除去カラム / LC-MS/MS / マトリックス効果 / 簡易化液抽出カラム |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度まで、除タンパク法やQuEChERS法と比較して高い夾雑物除去能を有する、除タンパク・リン脂質除去カラムISOLUTE PLD+カラムを用いた、全血中ネオニコチノイド系殺虫剤分析法確立を目指したが、検討した13種類の殺虫剤で、特にジノテフランにおいて著しいイオン化抑制が認められるという問題が生じた。本年度は、より効果的な前処理を達成するため、簡易化液抽出カラムNovum(Phenomenex)を用いた方法を検討し、構築した分析法のバリデーションを行った。リン脂質のキャリーオーバー抑制のため、LC条件にカラムとニードルの洗浄過程を追加した。 Novumを用いた前処理法では、ISOLUTE PLD+で認められたマトリックス効果によるイオン化抑制は軽減されたが、ニテンピラムの回収率が10%以下まで低くなる問題が発生した。そこで、種々の抽出条件を検討した結果、抽出溶媒の酢酸エチルにアセトニトリルを16%添加することで、回収率が大幅に改善された。定量範囲において検量線は良好な直線性を示し、決定係数は0.9946以上であった。日内、日間の精度、真度はそれぞれ85.5-113.9%、13.0%以内の範囲であった。また、回収率は52.7-92.7%、マトリックス効果は60.6-201.0%であった。 当初、同じリテンションタイムの溶出物質を網羅的に解析すればマトリックス効果原因物質の特定につながると仮定し、研究を進めたが、連続分析時の原因物質キャリーオーバーの影響が予想以上に大きい事が本研究において明示され、LCに洗浄フェーズを設ける事でマトリックス効果が正しく評価できる事が明らかとなった。除タンパク・リン脂質除去カラムISOLUTE PLD+や簡易化液抽出カラムNovumによるマトリックス効果低減作用も可視化されたため、今後の法中毒研究に大きく寄与すると考えられる。
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