2022 Fiscal Year Annual Research Report
A multilateral approach to the diagnosis of sudden cardiac death centering on DNA methylation
Project/Area Number |
20K10569
|
Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
橋谷田 真樹 関西医科大学, 医学部, 准教授 (40374938)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | ミトコンドリアDNA / 心臓突然死 / 次世代シークエンサー / ゲノム変異解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は次世代シークエンサーを用いたミトコンドリアDNA(mtDNA)解析を行った.mtDNAに変異が存在すると極めて重篤となる臨床症状を示し,ミトコンドリア病と呼ばれている.先天性で持つと乳幼児から症状が見られるが,成長後にミトコンドリア病を発症することもある.これは時間が経過すると共に変異を持つmtDNAの数が増加し,ある閾値を超えると臨床症状が出ると考えられている.特に心臓でこれが起きると心筋症の症状が出現し,突然死に至ることもあり得る.そこで当大学での解剖した突然死例のうち,1歳以下の乳幼児突然死9例,および成人6例を解析した.解剖中に採取した心筋,および心臓血からそれぞれDNAを抽出し,Precision ID mtDNA Whole Genome Panelを用いてmtDNA全領域の増幅を行い,Ion Chef Systemで前処理後, Ion Gene Studio S5 Systemでデータを取得した.得られたシークエンスデータは,ConvergeソフトウェアでmtDNA参照配列(rCRS)との変異解析を行った.なお,使用した試薬・機器はすべてThermo Fisher Scientific社製である.心筋と血液で全く同じ配列を示したのは15例中3例のみであり,心筋に生じたmtDNAの変異は蓄積されることが確認された.病原性変異は観察されなかったが,ATP8遺伝子エクソン中に塩基置換があるものが1例観察された.また,5例において,NADH dehydrogenase, subunit 4遺伝子の11038部位に変異が観察された.これらの変異と死因との関連はまだ不明であるが,心筋と血液間でのヘテロプラスミーや心筋内でのヘテロプラスミーの存在が複数例で観察されており,心臓突然死には心筋のゲノム変異のみならず,mtDNA変異が関与している可能性が示唆された.
|