2020 Fiscal Year Research-status Report
エンドユーザ用看護支援立案エージェントの設計に関する研究
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20K10574
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
浅野 美礼 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (00273417)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 遠隔医療 / テレナーシング / 訪問看護 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)在宅療養が必要となる看護の対象もしくは領域ごとに、在宅療養で提供されうる医療サービスの種類とそれを提供する主体を調査した。e-Stat:政府統計の総合窓口を利用して直近約5年分の資料を閲覧し、主に以下のような結果を得た。訪問看護ステーションの利用者数は年々着実に増加しており、診療科別でみると内科、外科、泌尿器科、精神科の割合が高い。小児科の割合が高くないが、長期療養の児の利用が多くを占める。原因疾患別でみると循環器、脳血管、認知症、糖尿病、骨折、筋骨格が多く、耳鼻疾患が少ない。比率でいえば高齢者の循環器疾患、脳血管疾患が需要の多くを占めている。 (2)要求獲得の裏付けとして訪問看護師からヒアリングを実施する予定だったが、実施が困難であったのでこれも直近約5年分のe-Stat上の資料を検索調査した。訪問看護の提供体制の課題としてあげられるのは24時間対応体制の整備および緊急時の対応である。24時間対応体制がないステーションでは、小児および精神の、特に別表7で示されている疾患の割合が少なかった。また、複数のステーションを組み合わせて利用している者が全体の1割強いることがわかっているが、ステーション同士の連携がうまくいっているか不明であった。 (3)訪問看護で利用されているICTツールは、基本的な電話・メールのほか医療用SNSが普及している。医療用SNSとしてはメディカルケアステーションのシェアが大きく、全国200以上の医師会をはじめ、9万人以上の医療・介護関係者が利用し、利用者の8割が肯定的な評価をしていると報告されている。その他、メディラインとが有名な医療SNSとされているが、従来より存在する一般的なSNSも利用されていると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
令和2年度の予定として(1)~(3)の結果をもとに、(4)問題の有無と発生地点、その原因と対策を検討する予定であったが、まだ進捗していない。これはCOVID-19の感染の状況を見ていて(1)~(3)のとりかかりが遅かったことによる。これは今年度前半に実施、完了する予定である。 (4)は臨地での調査を必要としないので、今年度は遅れは発生しない見込みである。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度の方針として、まず前年度残した課題に取り組む。すなわち訪問看護の24時間対応体制および複数訪問看護ステーションの連携の構築に対して、問題点があるとすればどの地点にあり、どのように対策をすればよいのかを利用者目線で考察する。特に、ICTを活用したテレナーシングが有用であるのはどのような状況であるか、対応できないのはどのような場合かを明らかにする。 課題分析の結果をもとに、テレナーシングで扱う可能性があるサービスのマッピングおよびフローを作成する。具体的には、診療科別あるいは疾患別などの利用者に判別がつきやすい入口を起点として、年齢、利用頻度、家族構成、利用可能な訪問看護ステーション、訪問看護ステーションが提供可能なサービスといった選択肢のある属性についてすべての組み合わせ(マッピング)を作る。理論的には、このマッピングには既知のあらゆる利用者のパターンが記述される。そのマッピングをもって、アプリケーション開発で要求されるところの利用者の要求定義および要件を検討する。
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