2023 Fiscal Year Research-status Report
抗癌剤漏出に関する調査とステロイド局所注射の作用を中心としたケアの実証的研究
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20K10584
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Research Institution | Iwate Prefectural University |
Principal Investigator |
及川 正広 岩手県立大学, 看護学部, 講師 (60537009)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 有里 岩手県立大学, 看護学部, 教授 (80305268)
三浦 奈都子 (小山奈都子) 岩手県立大学, 看護学部, 准教授 (40347191)
小池 祥太郎 青森県立保健大学, 健康科学部, 准教授 (30553317)
小野木 弘志 東北福祉大学, 健康科学部, 准教授 (50610200)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 抗がん剤 / 血管外漏出 / 罨法作用 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、前年度に引き続きビンカアルカロイド系抗がん剤であるエクザール(ビンブラスチン硫酸塩)と、ファルデシン(ビンデシン硫酸塩)における、漏出性皮膚傷害ならびに、冷罨法、温罨法の作用にについての検討を行った。実験方法は、実験動物(ラット)背部の皮下組織2ケ所にエクザールは1.0㎎/mlを0.5ml注入、ファルデシンは0.05㎎/mlを0.5ml注入し漏出状態とした。冷罨法は、皮膚表面温度を基準に、17℃~19℃程度で冷やした18℃群、21℃~23℃程度で冷やした22℃群に分け、温罨法は、39℃~41℃程度で温めた40℃群、42℃~45℃程度で温めた43℃群、さらに罨法を行わない対照群に分け、漏出後の皮膚傷害の変化を比較評価し検討を行った。漏出部の観察は、漏出当日から毎日、同時間帯に、発赤、腫脹、潰瘍などの観察を行った。また、漏出後7日目に皮膚組織を摘出し、浮腫、癒着、出血などの観察を行った。その結果、特に冷罨法では、温度の差により皮膚傷害の変化が生じる結果を得た。ビンカアルカロイド系抗がん剤に関しては、病院施設の抗がん剤漏出マニュアルなどでも、漏出時の初期対応とし罨法を推奨されている。しかし、冷罨法、温罨法の実施は病院施設により違っており、どの程度の温度で罨法を行うかなどは検証されておらず、そのため、看護師それぞれの判断に委ねられている状況である。今後、さらに他の薬剤を含めて検証を行い、臨床に還元していきたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
実験動物を用いての検証に関しては、計画的に進めることができたのだが、それらの結果を発表するには至らなかった。アンケートに関しては、病院・施設に協力依頼に対し、コロナが落ち付くまでは厳しい。と返答されることも多々あり、計画的に進めることができず、作業が進まず、遅れを取っている状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の研究成果は、次年度の学術集会での発表や論文執筆に繋げていき、実験も計画的に進める。アンケートに関しては、病院・施設の現状は、感染対策で多忙な状況からも、まだ終息したと言えないが、研究の目的・意義を伝え、アンケートの協力を得られる施設を開拓するよう努めていく。
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Causes of Carryover |
動物を使用しての実験に関しては、ある程度計画的に進められていたのだが、学術集会での発表などを行うことがなかった。アンケートに関しては、コロナ禍を理由に、協力を辞退されることもあり、分析に賭ける予算の捻出が少なかったことが主な理由となる。 次年度は、今年度より多くの実験を行っていき、学術集会での発表や論文投稿を積極的に行っていく。また、アンケートに関しては、データ分析ができるまでの量を獲得できるよう、調査依頼を続けていく。
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