2020 Fiscal Year Research-status Report
看護師の「感情労働」のストレス反応にフェイスマッサージが及ぼす効果に関する研究
Project/Area Number |
20K10603
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
大川 百合子 宮崎大学, 医学部, 准教授 (60270055)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
深井 喜代子 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (70104809)
西田 佳世 聖カタリナ大学, 人間健康福祉学部, 教授 (60325412)
坂下 恵美子 聖カタリナ大学, 人間健康福祉学部, 講師 (70511195)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 看護技術 / フェイスマッサージ / 感情労働 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和2年度は国内外の文献を検討し、感情労働によって生じる身体的な変化をどのように測定するか検討を行った。感情労働を「笑顔」とは反対に心理的な「緊張」を持った状態と考え、その緊張は身体的には筋緊張を引き起こしているのではないかと考えられた。内田ら(2011)の研究によると筋硬度の変化は自律神経活動の変化が直接的に関連しているのではなく, 筋肉を弛緩させる別の作用経路が考えられ、心理的な変化が肩の筋肉を支配している大脳皮質の運動野に働き,筋肉を弛緩させているのではないかと述べている。したがって、身体的な"凝り"の有無と感情労働の捉え方を関連付けて検討することが必要であると考えた。身体的な"凝り"については、肩周囲の筋硬度を測定することが有効ではないかと考えられた。今回これらに加えて他の生理学的な指標も検討している。心理的な指標としては、山本ら(2019)は感情労働にはポジティブな面とネガティブな面があると述べており、その心理的な状態と身体的な関連性を明確にする必要があると考えられた。また、看護師がどのような看護活動を主に行っているかによって、感情労働の捉え方が異なるため、調査・実験時は被検者の背景を把握し、データ分析時に考慮する必要があると考えた。看護師の感情労働の捉え方を明確にしたのちに、その感情から解放または緩和される手段として「フェイスマッサージ」がどのように影響するか、変化を細かく分析していくことで、介入の意義および看護技術としての「フェイスマッサージ」の確立につながると考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染拡大により、看護職との接触が難しい状況になっている。そのため研究者間での検討が遅れてしまった。倫理申請書の作成も遅れてしまい、研究着手が滞っている。現在、研究者の所属機関に倫理申請書を提出すべく準備している。加えて、必要な物品(筋硬度計など)や心理的変化を測定する尺度および分析方法(統計手法含む)を検討している。
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Strategy for Future Research Activity |
倫理申請書を提出し、また、研究者間での検討を活発にして研究を進めていく。実験の必要物品や環境の整備を行い、実験のシミュレーションおよびプレテストなどを実施する。筋硬度計の取り扱いや正しく測定する方法などを習得する。心理尺度については製作者の許可を得るなどの準備をしていく。研究協力者(被検者)を看護師としているため、所属する病院の看護部に説明を行い、研究協力を看護スタッフに依頼していく。ただし、新型コロナウイルス感染拡大による様々な影響を考慮しなければならない。研究を依頼する病院では新型コロナウイルス感染患者を受け入れており、感染患者の治療に関わった看護師と、関わっていない看護師では感情面で違いが生じる可能性も考えられる。研究対象者の状況を明確にする方法についても検討していく必要がある。
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Causes of Carryover |
倫理申請書の提出が遅れてしまいプレテストなどの実施ができなかったため。また、研究者間でのディスカッションの開催ができなかったことにより、次年度使用額が生じた。今後の計画として、実験のシミュレーションおよびプレテストなどを実施するための、必要物品や環境の整備を行う。
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