2022 Fiscal Year Research-status Report
情報プライバシーに配慮した地域医療連携における患者情報の共有のありかた
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20K10618
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Research Institution | Nagoya Women's University |
Principal Investigator |
新實 夕香理 名古屋女子大学, 健康科学部, 教授 (20319156)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
太田 勝正 東都大学, 沼津ヒューマンケア学部, 教授 (60194156)
池上 千賀子 (曽根千賀子) 長野県看護大学, 看護学部, 講師 (40336623)
大竹 恵理子 国立研究開発法人国立国際医療研究センター, その他部局等, 国立看護大学校 老年看護学 准教授 (10423849)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 情報プライバシー / 地域医療連携 / 情報共有 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の上半期は、地域中核病院から診療所等への情報提供と情報共有に関する調査を継続し、研究成果をまとめた。A県内の5つの医療施設で、地域医療連携に携わる看護師、社会福祉士の計23 名にインタビューを行った。転院先への書類作成にあたり、看護師は、患者の身体状態、吸引回数や褥瘡の処置等のケア方法、および認知障害や精神状態の程度等を記載していた。一方、研究協力を得た施設において社会福祉士が主体となって作成する書類はなく、医師や看護師の作成書類に不足があった場合に、彼らに追記を依頼していた。例えば、介護度、生活環境、転院に対する希望、生活する上での問題等の情報である。機微な個人情報が情報提供書等に記載され転院先に送られているが、その中身は患者や家族に知らされず、また、情報共有の範囲についても、医療機関名は伝えられることがあっても、「誰」に対して情報提供するのか具体的な職種まで伝えていないことが明らかになった。 一方、地域医療連携ネットワークの登録は、共有する情報の範囲が示された説明書で、社会福祉士や退院支援看護師が患者や家族に説明し、意思確認が行われていた。これにより、患者や家族は転院先の施設に提供される情報が認識できるため、地域医療連携における情報共有は適切に行われていることが示唆された。 下半期は、在宅医療・介護にかかわる医療従事者を対象とし、地域中核病院から提供される患者情報の受け手からみた共有の実態と課題を明らかにするための調査が行えるよう倫理審査手続きを行った。そして、令和5年3月からインタビュー調査を開始し、現在も継続している。 その他、研究成果の一部を第42回医療情報学連合大会(北海道・札幌市)においてポスター発表を行い、本研究を進める上で有用な意見を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
初年度に計画した調査が新型コロナウイルス感染症の影響で、予定通りに完了できなかった。そのため、全体の計画を修正し実施しているところである。現在、研究分担者の地域において研究対象者のリクルート・調査を開始しており、翌年度上半期に予定件数に達する見込みである。そのため、やや遅れていると判断した。 なお、新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置付けが5類感染症に変更されても、患者を対象としたインタビュー調査は当分の間難しいと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、在宅医療・介護にかかわる医療従事者、主にかかりつけ医、訪問看護師を中心にインタビュー調査を進めている。予定件数30に達することができるよう8月を目途に調査を終了させる。 適宜、逐語録を作成し、データの整理、解析を進めていくことで、学術集会での演題登録につなげる。さらに、学会での意見交換を通じて、論文化の準備を行う。
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Causes of Carryover |
初年度に新型コロナウイルス感染症の感染拡大による緊急事態宣言などが生じ、その影響によって医療従事者を対象としたインタビュー調査が完了できなかった。それにより、次年度使用額が連続的に生じてしまった。 本年度に計上していた調査旅費、調査協力への謝金、逐語録作成などにかかる費用は、次年度に引き続いて実施する調査に充てる。また、新型コロナウイルス感染症が一段落し、国内外の学術集会が対面実施されるようになってきたため、最新の情報や知見を収集し、医療情報学や看護情報学の専門家と意見交換の時間を得ることに、学会参加費・旅費に充てる。
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