2020 Fiscal Year Research-status Report
グローバル化時代の看護人材確保ー国際移動した日本人看護師の発掘と再獲得
Project/Area Number |
20K10620
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Research Institution | Kyoto University of Advanced Science |
Principal Investigator |
那須 潤子 (那須ダグバ潤子) 京都先端科学大学, 健康医療学部, 講師 (70554898)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大野 ゆう子 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (60183026)
李 錦純 関西医科大学, 看護学部, 准教授 (60584191)
岩佐 真也 静岡県立大学, 看護学部, 客員共同研究員 (70405372)
藤井 誠 大阪大学, 医学系研究科, 特任助教 (10803760)
市川 徳子 京都先端科学大学, 健康医療学部, 契約助手 (70883411)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 日本人看護師 / 国際移動 / グローバル化 / 人材確保 / オーストラリア |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、これまでの研究成果をもとに、継続的かつ発展的研究として行うものであり、2018年から2019年に行った調査の結果をもとに、2020年度は文献検討と新たな資料収集を実施した。オーストラリア政府発表の統計資料などをもとに日本人看護師の動きを推測し、オーストラリアで日本人が看護師登録する方法、それぞれの利点、欠点についてまとめた。日本人がオーストラリアで看護師として働こうとする場合、まずは日本の看護師免許を取得しているかどうかにより状況が異なることがわかってきたが、これはカナダ、アメリカにおいても同様であるものと考えられる。 現時点においても、国際移動した日本人看護師に関する実態はほとんど明らかではないのが現状である。2010年、世界保健機構は看護師の採用に関する倫理指針を採択した。これを受けて、先進国の多くがビザの厳格化に踏み切ったため、外国人看護師受け入れ体制は大きく変化している。本研究の調査を行う上では、看護師免許の制度および管轄団体の現状を把握することが不可欠であるため、オーストラリア、アメリカ、カナダの状況について文献検討を行った。アメリカではCGFNS資格に合格の上で看護師免許(NCLEX-RN)の受験資格が得られる。カナダではNNASで書類審査を受けて看護師国家試験(NCLEX-RN)の受験が可能となる。オーストラリアではAHPRAに看護師免許の管轄が統一されるなど、近年では外国人看護師が就労するための制度が大きく変化している。 次年度は今年度の成果をふまえて、オーストラリア、カナダ、アメリカで看護師として働く日本人看護師がどのようなプロセスを経て入国し、就労に至るのかを整理し、インタビュー調査を実施するための情報を収集するほか、研究目的を達成するための課題整理を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
日本の看護現場で活躍できるグローバル人材としての「国際移動した日本人看護師」を発掘し、これらの看護師が日本に戻り働きたいと考える職務を明らかにする、という本研究の目的を達成するための研究推進の基盤として、研究対象者募集、ウェブ調査広報、セミナー告知および研究成果発信のための具体的方法を検討する必要がある。そこで、今年度は新型コロナウイルス感染症の影響により渡航することはできなかったものの、日本人看護師の国際移動に関連する専門職者による検討会として、オーストラリア在住の日本人看護師、在豪邦人対象のNGO関係者、オーストラリア留学斡旋業者らと二度にわたりオンラインでの検討会を開催した。また、当初の予定通り、今年度は文献検討を進め、2018年度からの研究課題「日本の看護の魅力再考―オーストラリアに国際移動する看護師の決断要因」のインタビューおよびウェブ調査結果をふまえたうえで、本研究におけるインタビュー調査およびウェブ調査項目を作成しているところであり、引き続き2年目以降の調査、および3年目の国際セミナー開催について準備を進めていく。
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Strategy for Future Research Activity |
当該年度は幅広く文献検討を行い、専門職者による検討会を開催することで、今後の研究の展開に向けた具体的方法について検討することができた。検討会では、日本国内のみならず、オーストラリアをはじめとする海外在住の日本人看護師に対して本研究内容を広く効果的に発信するためには、当初予定していたホームページ開設ではなくSNSを活用する方針に変更することについて議論が行われた。これにより、2021年度以降にFacebookページを作成し、Twitter、Instagramなどとの連携を行う予定である。2021年度は、インタビュー調査と国際学会発表、およびウェブ調査の準備・実施を行い、2022年度は国際セミナーを開催する予定である。 次年度以降は、国際移動した日本人看護師にインタビュー調査を行い、これをもとに質問項目を作成して、アメリカ、カナダ、オーストラリアに国際移動した日本人看護師を対象にウェブ調査を行うことを研究計画としている。新型コロナウイルス感染症の状況によってはオンラインでのインタビュー調査に変更する必要があるかもしれないが、各国の医療状況等も考慮する必要がある。また オーストラリア同様、カナダ、アメリカの看護師免許管轄団体へのアクセスや、特定のコミュニティをもたない日本人看護師へのアクセスは遠隔で行うと困難であることが想定されるため、可能な限り渡航して調査を開始する可能性を模索したいと考えている。
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Research Products
(1 results)