2021 Fiscal Year Research-status Report
皮膚バリア機能における表皮内浸透圧の役割の解明とスキンケアへの応用
Project/Area Number |
20K10672
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
加茂 敦子 順天堂大学, 医療看護学部, 准教授 (50614088)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 皮膚バリア機能 / 浸透圧 / ドライスキン / ホメオスタシス / スキンケア |
Outline of Annual Research Achievements |
ドライスキンは皮膚バリア機能の低下に関連して認められる。皮膚バリアは体外からの異物等の侵入とともに、体内の水分蒸散を防ぐ機能があることから、この機能低下は表皮角化細胞が分布する環境の変化につながると考えられる。本研究では、皮膚バリア機能の低下による表皮内環境の変化として浸透圧に着目し、これが表皮角化細胞に与える影響を検討している。これまでの検討から、急性ドライスキンモデルマウス表皮において、低浸透圧で活性化するTRPV4発現の増加を認めている。また、慢性ドライスキンモデルマウス皮膚で、水チャネルAquaporin3、浸透圧調節に関わるタウリンの輸送体であるTaurine transporter、皮膚バリア機能に重要な天然保湿因子のもととなるFillagrin(FLG)発現の増加傾向を認めた。培養ヒト表皮角化細胞に対して浸透圧刺激を行うと、高浸透圧刺激後24時間でFLG発現の増加が、一方で低浸透圧刺激では刺激後3時間後には発現の低下を認めた。これらのことから皮膚バリア機能の低下は、表皮内浸透圧環境の変化を誘導するとともに、表皮角化細胞を取り巻く浸透圧環境の変化が皮膚バリア機能に影響を与えることが示唆された。現在、皮膚バリア機能に対する浸透圧変化の直接的な影響を検討するため、ヒト表皮角化細胞株(HaCaT)を用いた経上皮電気抵抗(TER)測定の実験系の確立を目指しているが、確立には至っていない。今後、初代培養細胞等を用いた実験系の確立も検討していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナウイルスの影響により、教育関連へのエフォートが引き続き必要な状況となっている。培養ヒト表皮角化細胞株を用いたTERを測定する実験系の検討を実施しているが、実験系の確立に至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
正常ヒト表皮角化細胞(NHEK)を用いたTERを測定する実験系の確立を早急に行う。また、浸透圧刺激を行ったNHEKの遺伝子発現解析、動物モデル皮膚を用いた解析を継続して行うことにより、皮膚バリア機能と表皮内浸透圧との関連を明らかにする。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの影響により、引き続き教育に関するエフォートが求められている。これにより研究の遂行にも影響がでており、次年度使用額が生じた。今年度は、昨年度に引き続き教育のエフォートを定期的に見直し・修正していく予定である。
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