2020 Fiscal Year Research-status Report
革新的看護技術が医療現場に実装されるための因子の特定とその構造
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20K10689
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Research Institution | Kanagawa University of Human Services |
Principal Investigator |
佐々木 杏子 神奈川県立保健福祉大学, 保健福祉学部, 講師 (10793325)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
桑本 暢子 (大久保暢子) 聖路加国際大学, 大学院看護学研究科, 准教授 (20327977)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | イノベーション / 看護技術 / 実装 / 持続可能性 / プログラム |
Outline of Annual Research Achievements |
令和2年度は、実装に影響する因子を特定するために文献検討を行った。 看護学において実装という用語はほとんど使用されておらず、国内一医療施設における「普及」の概念分析を実施した。「先行要件をきっかけに、ある集団が意図的に新しい知識・技術・用具を導入する。医療実践者と共に実践と評価を繰り返し、複数の要因と関連しながら、新しい知識・技術・用具が一組織で継続・定着する循環的プロセス」と定義した。 一医療施設における革新的看護技術の継続を明らかにする概念として普及は適切でないと判断し、代替用語である「定着」「浸透」「実装」「持続可能性」について医学・看護学を中心に国内外の文献をもとに文献検討を実施した。その結果、採用はするが継続しないという現状の課題には「持続可能性」の概念が適していると結論付けた。文献検討から定義【中核となる活動の継続】【アウトカムの維持】【影響を与える要因】の3因子が明らかとなり、質問紙の構成概念を得た。【影響を与える要因】の下位概念として4つの要因が明らかとなった。 また、本研究での根拠に基づく実践の定義を明確にするための文献検討と、対象となる看護技術・プログラムを選定した。本研究で取り扱う看護技術・プログラムの基準として、(1)採用された時点で、組織や個人のグループにとって新しい介入・プログラム、(2)設定は急性期病院であること、(3)患者アウトカムの改善があり、科学的根拠が明確であること、研究・実践報告などの臨床研究が複数確認できること、(4)個々の提供者によって実施される介入であることとした。それに該当するものとして、背面開放座位などを含む早期離床、身体拘束最小化、各種ガイドラインの遵守などが適していると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
COVID-19の感染拡大に伴い、オンライン講義・演習・実習への変更・授業計画立案・実施、学生の相談など、学術研究活動以外に対応すべき事柄が増大したこと、一時的な図書館サービスの利用制限により、文献検討が中心であった研究活動が停滞し進展しなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度は質問紙作成とプレテスト、対象施設の選定を行う予定である。 さらなる文献検討を行い、国外文献から急性期病院における看護技術の持続可能性に影響する要因を明確にし、国内の研究成果と照合し、質問項目を抽出する。9月に協力施設を対象にプレテストを実施する。 同時に対象となる技術の継続状況に関して調査を行い、持続可能性の程度が違う複数の施設を対象施設として選定する。12月(倫理審査委員会承認後)より調査を開始する。 研究すべての過程において、研究分担者と検討を重ねて研究を進めていく。
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Causes of Carryover |
結果を学会発表する予定であったが、新型コロナウイルス感染症の影響により、学会の開催が中止やオンライン開催とされたこと、分担研究者との打ち合わせもオンラインで実施し、旅費が不要になり未使用額が生じた。 このため、本年度の発表を次年度に行うこととし、未使用額はその経費に充てることにしたい。
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Research Products
(1 results)