2021 Fiscal Year Research-status Report
臨床看護師の倫理的行動を明確にする看護倫理ルーブリックの開発
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20K10692
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
吾妻 知美 京都府立医科大学, 医学部, 教授 (90295387)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
峯村 優一 群馬パース大学, 保健科学部, 講師 (80868935)
服部 美景 京都府立医科大学, 保健看護学研究科, 臨地指導助教 (60870988)
辻尾 有利子 京都府立医科大学, 保健看護学研究科, 臨地指導助教 (10870967)
吉岡 とも子 京都府立医科大学, 保健看護学研究科, 臨地指導助教 (30870969)
安田 美緒 京都府立医科大学, 保健看護学研究科, 臨地指導助教 (60870970)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 臨床看護師 / 倫理的行動 / ルーブリック |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、知識テストやチェックリストでは評価が困難な関心・意欲、思考・判断、技能・表現といったパフォーマンス評価に適した「看護倫理ルーブリック」を開発し、その信頼性をと妥当性を検証し、臨床現場での活用を目指すことである。すでにわれわれは、「看護倫理ルーブリック」(試案)作成し、京都府立医科大学病院において試用した。しかし、この「看護倫理ルーブリック」(試案)の信頼性と妥当性について、すべての看護職の活用に耐えられる精密な検証はしておらず、対象者を増やして一般化できるところまで精度を高める必要があると考えた。 今年度は、信頼性と妥当性のある「看護倫理ルーブリック」作成のために、これまで使用していた「看護倫理ルーブリック」(試案)についての検証を行った。この結果は雑誌Journal of Nursing Managementに「Development of an Ethical Behavior Rubric for Clinical Nurses」として投稿して現在査読中である。また、倫理的行動を具体的に解明するために、「大学病院の副看護部長が倫理的行動をとる上で感じる困難」を執筆し、日本看護管理学会誌25(1)に掲載された。さらに、2022年8月に開催される日本看護管理学会学術集会に「A病院における新人看護師の看護倫理教育の効果」「副看護師長の“看護倫理ルーブリック”自己自己評価による倫理的行動の変化―アドバンス・ケア・プランニングの取組みに焦点をあてて」「日本の臨床看護師の倫理的行動の概念分析」の3編を発表する予定である。「看護倫理ルーブリック」(試案)の活用により、新人看護師の看護倫理教育や臨床看護師に対するアドバンス・ケア・プランニングの取組みの効果についても評価できることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2021年度の予定は「看護倫理ルーブリック」の信頼性と妥当性の検証である。信頼性と妥当性のある「看護倫理ルーブリック」作成のために、これまで使用していた「看護倫理ルーブリック」(試案)についての検証を行った結果、「看護倫理ルーブリック」(試案)については信頼性と妥当性があることが検証された。この結果から、「看護倫理ルーブリック」の大まかな枠組みや基準を用いてパフォーマンス評価することは問題がないことが推測される。 しかしながら、評価観点である「基礎知識の理解」「分析ツールの理解」「前向きな姿勢」「おかしいと気づく倫理的感受性」「多様な価値観の認識」「意図した情報収集 意思決定能力の査定」「問題の分析 倫理原則と関連させた思考」「合意形成カンファレンス」「倫理的行動の実践モデル 患者中心の看護」「振り返り・内省 看護実践につなげる」の10観点の枠組みについての違和感がみられるため、臨床看護師の倫理的行動の概念分析を根拠に導き出された7つの属性【生命倫理・看護師の倫理綱領に基づく行動】【社会規範の遵守】【より善い生を目指した支援】【対象者にとっての最善のケアの探究】【対象者の自己決定を支える支援】【対象者に寄り添う多職種による意思決定支援】【倫理の知識に裏づけられたアセスメントと評価】を評価の観点にすることで、改善すると考える。また、「看護倫理ルーブリック」の活用により、新人看護師の看護倫理教育やアドバンス・ケア・プランニングの取組みの効果についても評価できることが明らかになったことから、具体的な有用性についても確認していく。 「看護倫理ルーブリック」(試案)については、学会発表や論文掲載により、他施設で使用したいという要望があることから、他施設のデータを合わせた信頼性と妥当性の検証を行いたいと考える。 以上から、研究はおおむね順調に進展していると評価する。
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Strategy for Future Research Activity |
われわれが作成した「看護倫理ルーブリック」(試案)については、信頼性と妥当性は検証できたが、評価の観点については10項目から7項目に修正し、再度、信頼性と妥当性を検証していく。 また、新人看護師の看護倫理教育やアドバンス・ケア・プランニングの取組みの効果についても評価できることが明らかになった。を評価の観点にすることで、改善すると考える。また、「看護倫理ルーブリック」(試案)の活用により、新人看護師の看護倫理教育やアドバンス・ケア・プランニングの取組みの効果についても評価できることが明らかになったことから、具体的な有用性についても確認していく。 可能であれば、評価にに時間がかからない「臨床看護師の倫理的行動尺度」の作成につなげていきたい。倫理的行動尺度は、より多くの臨床看護師に活用可能である。開発した「臨床看護師の倫理的行動ルーブリック」「倫理的行動尺度」は研究者の所属機関で活用可能可能である。また、ルーブリックを取り入れたいと希望している施設もあることから、広範囲に普及可能であると考える。
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Causes of Carryover |
成果発表のため学会参加経費を計上していたが、オンラインとなったため経費が不要になった。今年度、海外論文への投稿費として計上して使用する予定である。
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Research Products
(1 results)