2020 Fiscal Year Research-status Report
社会人基礎力の「働きかけ力」を高め効果的な実習指導を可能にする実習指導者用教材
Project/Area Number |
20K10695
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Research Institution | Yamaguchi Prefectural University |
Principal Investigator |
藤本 美由紀 山口県立大学, 看護栄養学部, 講師 (70448801)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々木 満智子 山口県立大学, 看護栄養学部, 助教 (10735690)
丹 佳子 山口県立大学, 看護栄養学部, 教授 (70326445)
伊東 美佐江 山口大学, 大学院医学系研究科, 教授 (00335754)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 実習指導 / 働きかけ力 / 看護学実習 / 看護教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、第一線の実習指導者の実践知を分析し、「働きかけ力」および「働きかけ力」を高める要素を抽出する。そして、その要素をふまえて教材を作成し、その有用性を実証することを目的としている。2020年度は、文献検討と調査データ分析等から、実習指導者の「働きかけ力」とその向上に関連する要因を明らかにした。 実習指導者がスタッフナース等を巻き込む力である「働きかけ力」は、先行する主体性によってその背景となる意欲・やる気が保証され、自らの考えに自信を持ち、自身の役割が遂行できるようになった後に発揮される力である。そのため、実習指導者の意欲、自信、指導行動、課題に注目し、看護学、教育学等の領域における文献検討を行った。その結果、必要な研修を受講できていない実習指導者が多く存在し、そのような実習指導者には「働きかけ力」発揮の先行要因である自信の欠如が存在すること、また、働きかけ力の欠如が原因と推察される調整・連携上の問題が多く存在することが明らかになった。 また、本研究者らが作成した冊子を用いて2015-2016年に実施した実習指導者に対する介入前後の調査データの分析を行った。調査内容は、実習指導意欲、指導行動、指導上の困難感等である。分析結果から冊子の効果検証と課題検討を行ったところ、必要な研修を受講していない実習指導者は困難感が高く、指導に対する意欲が低いことや他者への働きかけが必要な指導行動は、冊子による介入では変化しにくい行動であることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年度は、新型コロナ感染症拡大防止と業務繁忙のため、実習指導者へのインタビュー調査や参加観察ができなかった。今後は感染拡大状況に合わせて、実習受け入れ施設の実習指導者とスタッフナース等からの情報収集やインタビュー調査等においては、対策を講じ実施する。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度に行った文献検討と調査分析結果を踏まえ、実習現場で巻き込み上手な人と巻き込まれた人を探し、巻き込み場面の参加観察を行う。参加観察およびインタビューでは、巻き込む手段や工夫、2者の役割や態度、関係性等を観察する。それらの結果から、実習指導者用の教材の内容となる働きかけ力向上のための要素の抽出を行う。なお、調査実施の際は感染防止対策を施し、直接のインタビュー等が難しい場合は、電話や書面を利用する。
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Causes of Carryover |
実習指導者の働きかけ力とその向上に関連する要因は明確にしたが、新型コロナ感染症拡大防止とそれに伴う業務繁忙のため、働きかけ力向上要素の抽出のための調査が実施できていない。現場の実習指導者に対する参加観察やインタビュー調査を実施する際の謝金の一部とする。
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