2020 Fiscal Year Research-status Report
長期生存肺がんサバイバーのスティグマによる障壁克服支援プログラムの開発
Project/Area Number |
20K10720
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Research Institution | Health Sciences University of Hokkaido |
Principal Investigator |
熊谷 歌織 北海道医療大学, 看護福祉学部, 講師 (20337041)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平 典子 北海道医療大学, 看護福祉学部, 名誉教授 (50113816)
前川 真湖 北海道医療大学, 看護福祉学部, 助教 (80803634)
清水 博美 北海道医療大学, 看護福祉学部, 助教 (40808250)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 肺がん / スティグマ / がんサバイバー |
Outline of Annual Research Achievements |
近年のがん患者は、治療成績の向上から長期生存の可能性が高まり「がんサバイバー」と呼ばれる一方、未だがんに対する偏ったイメージから、偏見や差別を感じ生活している。この偏見には、スティグマ(先入観による烙印、レッテル)が一つの要因となっている。がんのスティグマに関する研究は、90年代より欧米で行われ、特に肺がん患者は予後や喫煙との関連でスティグマを抱え、それが抑うつやQOL低下の要因であることが立証されている。しかし日本では、年間12万5千人が肺がんと診断されサバイバーとなっていくにもかかわらず、その実情は明らかになっていない。日本の肺がんサバイバーはスティグマを携えいかに生きているのか。がんになっても安心して暮らせるための支援は何か。このような問いにより本研究は、肺がんサバイバーのスティグマ経験に関して統合的に理解し、社会生活における障壁を克服していくための支援プログラムを開発することを目的として開始した。 2020年度は、肺がんサバイバーが主観的に捉えるスティグマ経験を概念化するため、長期生存肺がんサバイバーへのインタビューを行い、スティグマに関連する経験の意味について分析してきた。その結果、対象者は他者の「がん患者」というものの先入観に起因した偏見に対し、その理由付けをして落としどころとし気持ちを収めたり、相手によってがんの経験を共有するレベル分けをするという対処をしたりしていることか見えてきた。現在、分析途中であることから、今後もこの作業を継続しまとめていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
インタビューデータの分析に時間を要しているためである。スティグマに関連する経験は、対象者がそれをスティグマとの関連によるものとは認識しておらず、無意識に行われている受けとめや対処を分析することが必要となるため、慎重に作業を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度内に、インタビューデータの分析を終え概念化する。また当初2021年度に予定していた一般市民に向けた肺がんへのイメージに関するデータ収集を同時進行で行い、肺がん経験者の経験と一般市民のイメージとを統合的に分析することにより、今後開発する支援プログラムの構成を検討するための基礎的データとしていく。
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Causes of Carryover |
学会への参加費用として旅費を計上していたが、オンライン開催となり旅費の支出がなかった。 次年度の一般市民対象の調査において、作業を外注する計画であることからその費用に充てる。
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