2020 Fiscal Year Research-status Report
唾液アミラーゼ活性は痛みの客観的評価指標となるか?
Project/Area Number |
20K10721
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
松浦 誠 岩手医科大学, 薬学部, 特任教授 (00405846)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 祐輔 岩手医科大学, 医学部, 特任教授 (30364368)
齋野 朝幸 岩手医科大学, 医学部, 教授 (40305991)
藤澤 美穂 岩手医科大学, 教養教育センター, 講師 (60625838)
横田 眞理子 岩手医科大学, 看護学部, 特任講師 (70825512)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | がん性疼痛 / ストレス / 唾液アミラーゼ / ストレスマーカー / 精神的苦痛 / 心理的指標 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はがん性疼痛がもたらすストレスの関係に着目し、ストレスを簡易的かつ客観的に評価することができる唾液アミラーゼ中のストレスマーカーを指標とすることで、がん患者のメンタルヘルスの可視化を試み、がん性疼痛の苦痛評価の一つとして位置づけることでがん緩和領域におけるがん性疼痛とストレス評価系の構築を目指すことを目的とした。今年度は①がん性疼痛とストレスの関係について数値化すること、②心理的精神的苦痛とストレスの関係について数値化することを到達目標としたが、新型コロナウイルス感染症拡大により、がん患者を対象として唾液アミラーゼ採取が出来ない状況となった。また、患者を対象として心理的要因の調査についても実施できなかった。したがって、患者を対象とした研究遂行が困難な状況となったことから、がん患者が経験する精神的苦痛の心理的指標及び疼痛・苦痛の把握のために用いられる心理的評価指標に関する文献検討を行い、現状の把握を試みた。その結果、現在、がん患者の精神的苦痛のスクリーニングについて2つが用いられており、さらに医療従事者向けの心理的評価指標については9種類用いられていることがわかった。これらの指標をもとにした評価について論文データベース医学中央雑誌Web版にて文献調査をおこなった。これらの結果からがん患者の痛みや苦痛の評価は重要である一方で判断と対応が難しいということが明らかとなった。また、疼痛評価において一般的に利用されているVisualAnalogueScale:VASの評価についても、患者の疼痛・苦痛について実感が表現されるような表現の検討が必要であることも明らかとなった。加えて患者の痛みは主観的であるが客観的評価指標の解明が求められていることも明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究はがん性疼痛を有する患者を対象として、疼痛評価スケールを用いたがん性疼痛の把握と唾液アミラーゼ中に含まれるストレスマーカーを指標として、緩和領域におけるがん性疼痛とストレス評価系の構築を目指すものである。しかしながら、新型コロナウイルス感染拡大により、病院内への立ち入りが厳重に管理されていることにより、患者へ関わる機会を得ることが極めて困難な状況である。加えて、患者の唾液アミラーゼ中のストレスマーカー採取にあたっては、十分な感染対策を講じたうえでの採取および測定が必要となる。このような状況において、本研究を遂行することは困難であり、当初の予定から大きく遅れていると判断せざるを得ない。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウイルス感染拡大が収まるまでは、患者を対象とした本研究の遂行は難しいと考えている。一方で新型コロナウイルスワクチン接種が開始されることで、感染流行は収束に向かうものと思われる。したがって、今年度の後半を目処に本研究が開始できるように準備をすすめる予定である。また、分担研究者である木村医師や三浦看護師など治療上患者に接することができる立場にあるので、役割を見直すなどし対処したいと考えている。しかしながら、対象人数については当初の予定から大きく変更する必要があることは否めない。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染拡大により、患者からの唾液アミラーゼ採取および心理テストの実施が出来ない状況であった。したがって、物品費として購入を予定していた、唾液アミラーゼ解析システムや唾液アミラーゼ採取用チップなどの購入費用の支出がされなかった。次年度については新型コロナウイルス感染状況にもよるが、患者への関わる機会をもつことができれば、数例であっても、本研究を遂行することが可能であると考えている。その場合、唾液アミラーゼ解析システムの購入が必要となることから物品費として使用することとなる。
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