2021 Fiscal Year Research-status Report
がん遺伝/ゲノム看護ミニマムエッセンシャルズに基づく教育プログラムの開発・検証
Project/Area Number |
20K10722
|
Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
森屋 宏美 東海大学, 医学部, 准教授 (80631845)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
矢口 菜穂 東海大学, 医学部, 講師 (30336705)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | がん看護 / 遺伝看護 / ゲノム看護 / 教育プログラム / 看護実践能力 / スキル育成 / 混合研究法 / イノベーション普及 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は、教育プログラムのフレームワークを検討した。まず、人材育成計画立案の段階では、職位比較により対象を検討した。全国のがん診療連携拠点病院に所属する看護師のうち協力の得られた者について、統括管理職(統管群)、中間管理職(中管群)、スタッフ(非管群)に分類し、遺伝/ゲノム看護実践能力を比較した。その結果、中管群は非管群に比べて遺伝/ゲノム医療の知識を得る手段を把握し、がん発症のリスクアセスメントや継続マネジメントを実践していることが明らかになった。また、中管群と統管群との比較では、医療チームメンバーと遺伝/ゲノム看護の発展に向けて何らかの行動を起こす活動レベルに差異はなかった。よって、対象は、患者へのケア効果と組織への波及効果が期待できる中管群にフォーカスすることが妥当と考えた。次に、教育方略計画立案の段階では、先行開発した遺伝教育プログラムの効果を検証した。シティズンシップ教育イベントに参加した一般市民のうち協力の得られた者に、E. Rogersの普及理論を枠組みとした質問紙調査を行った。その結果、ヒトの遺伝学を生活に取り入れることによる効果への期待は有意に高まったものの、遺伝継承や多様性に関わる原理的知識の理解には変化がなかった。よって、教材開発では、普及の初期段階に必要な「知識」の獲得に注力し、原理的知識の補完、複雑性の回避と施行可能性の導入、学びへの価値づけや問題意識の醸成を考慮する必要があると考えた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
臨床実態に即した教育プログラムについて、既存の調査データを用いて分析・検討ができたため。また、先行開発した教育プログラムの評価をしたことにより、ヒトの遺伝教育における共通課題を推測することができたため。
|
Strategy for Future Research Activity |
令和2年度は、日本の実態に即したがん遺伝ゲノム看護実践能力の概念を構成する12属性を確定させたことにより、1つ目の研究目標であった遺伝ゲノム看護ミニマムエッセンシャルズの特定をした。令和3年度は、調査の分析を深めることにより、教育効果の高いターゲットの同定と、臨床への普及しやすい教育方略の戦略として①原理的知識の補完、②複雑性の回避、③施行可能性の導入、④学びへの価値づけ、⑤問題意識の醸成を特定した。そこで次年度以降は、これら知見に基づき、現在までに試作した教育コンテンツの改良を行う。原理的知識の補完では、中等教育での遺伝教育が植物や動物を素材としてきたことを踏まえ、ヒトの遺伝と既習の知識との橋渡しの表現を工夫する。複雑性の回避では、ヒトの遺伝に関する知識に特化した学習目標を設定する。施行可能性の導入では、実際の臨床場面に近い状況でアセスメントできるよう事例場面の設定と患者の主観的および客観的情報を提示する。学びへの価値づけや問題意識の醸成では、インタラクティブな仕掛けづくりを目指し、学習者が特定した看護問題がリアルタイムに認識できるようなシステムを検討する。
|
Causes of Carryover |
オンライン会議機能を用いることで研究会議に伴う経費が節約できた。次年度以降、論文投稿にかかる費用として活用する。
|