2022 Fiscal Year Research-status Report
Evaluation of QOL and development of a comprehensive program for stress of isolated Tuberculosis inpatients
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20K10766
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
秋原 志穂 札幌医科大学, 保健医療学部, 教授 (30337042)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
米澤 洋美 石川県立看護大学, 看護学部, 教授 (10415474)
山田 修平 北海道科学大学, 保健医療学部, 助教 (50806982) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 結核 / 患者QOL / 隔離 / ストレス |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度の予定は、結核病棟にて長期入院している患者対象に質的調査を行い、ストレスの内容や要因を明らにすることであったが、2022年度も新型コロナウイルス感染流行の影響により実施不可能であったため、結核患者のストレスについての文献検討を行った。 2020年以降の海外文献でTuberculosis、Patient、Stress、Psychological をキーワードにPubMedにて検索を行った。文献は61件あり、そのうち内容が合致する文献は19文献であった。研究対象の地域はアフリカ、東南アジアがほとんどあり、欧州での研究が1件であった。研究方法は、質問紙による調査でストレス尺度(PHQ-9)、不安尺度(GAD7)、抑うつ尺度(CES-D)、QOL尺度(WHOQOL)などにより結核患者の心理状態を測定しているものが多く、質的研究が3件、mixed methodが1件、RCTが1件であった。結核患者の心理状況については、治療開始時、あるいは治療中には「不安状態」「うつ状態」「高いストレス」が認められている。治療の経過のなかでこれらの不安状態などは軽快していくことを明らかにした研究もあるが、一般人と比べた場合には高い不安や抑うつが見られた。2020年以降は世界的にCOVID-19流行が見られたことから、COVID-19パンデミック中の不安状態について焦点を当てた研究も2件あり、COVID-19前との比較ではないが、他の研究と比べて不安と抑うつの得点が高く、COVID-19流行の影響も考えられた。質的研究からは、診断を受けた段階から15%が「自殺念慮」や「自傷行為」の考えがあったことが述べられ、結核患者の精神的苦痛が大きいことが明らかであった。また、精神的苦痛に影響する因子には個人要因、スティグマ、社会的要因、健康状態などがあったが、貧困と密接に関連していると結論づけられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2021年に引き続き2022年も新型コロナウイルスの流行により、結核病床は大きな影響を受けている。病院は面会禁止など部外者の入構を制限しているため研究の協力ができる状況ではなかった。家族の面会も制限されているなか、対象者との面会は不可能であった。研究データの収集だけでなく、研究依頼や打ち合わせもはばかられる状況で、これまでの研究の成果発表や文献研究の留まっている。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は新型コロナウイルスの感染症法の分類が5類へと変わり、感染対策が緩やかになる可能性がある。病院の感染対策もいくらか緩むと考えられるので、研究を進めていく。患者対象の研究が困難な場合は、医療者対象にインタビューと質問紙調査を行い、患者のかかえているストレスの状況を明らかにする。研究計画では生体試料(唾液)によるストレス測定があったが、実験試料の採取が困難な場合は断念し、上記で述べたように対象を変更する。もしくは、患者への調査が可能な場合は、尺度を用いたストレスの実態の調査およびストレス緩和プログラムの検討を行う。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス流行により研究が予定通りに実施することが困難であった。また、2022年度は途中で大学を異動したため、さらに研究を進めることが難しかった。
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