2020 Fiscal Year Research-status Report
外来でがん薬物療法有害事象評価シートを活用した診察前問診の有用性の検討
Project/Area Number |
20K10768
|
Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
本間 織重 昭和大学, 保健医療学部, 講師 (10788508)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梅田 恵 昭和大学, 保健医療学部, 客員教授 (20522410)
角田 卓也 昭和大学, 医学部, 教授 (30275359)
吉村 清 昭和大学, 大学共同利用機関等の部局等, 教授 (30346564)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | がん薬物療法 / 外来看護 / 有害事象 / 副作用 / アセスメントシート / 診察前問診 / 化学療法看護 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は、当院で独自に開発し外来で使用しているがん薬物療法有害事象評価シート(assessment and risk controlシート(ARCシート))の有用性について研究を実施した。本シートは、体温、脈拍、血圧などの客観的データの7項目と、悪心・嘔吐、食欲不振など、がん薬物療法の有害事象として代表的な13項目を含んでいる。当院の外来でがん薬物療法を受ける患者は、医師の診察前にジェネラルナースが有害事象について、NCI-Common Terminology Criteria for Adverse Events (CTCAE) version 5.0を活用して対面にて問診を行う体制を構築している。研究方法は、ARCシートあり群となし群に分け、患者アンケート調査と電子カルテからの診療録調査を実施した。具体的には、ARCシートから各有害事象のCTCAEのgrade評価と、患者アンケートでは、ARCシートの内容や質、回答者の満足度、構造上の長所、改善点などを5段階で評価した。 結果は、一部のがん薬物療法による有害事象の評価においてARCシートの有用性が見い出せた。満足度調査アンケートでは、ARCシートを用いた診察前問診で高い安心感が得られた。 本研究で使用しているARCシートは、がん薬物療法を実施する患者の有害事象を評価するツールとして、広くジェネラルナースが客観的なアセスメントができる評価シートになる点において意義がある結果となった。近年増加し続ける高齢がん患者や、体調の自己管理能力に課題がある患者らにとって、看護師が医師の診察前に対面で問診をすることで、医師と患者の有害事象の評価の乖離を改善することに役立つ可能性がある。また、これらの取り組みが有害事象を最小限にした治療の継続とQOLの維持、向上につながると考えられる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2020年度に基金を交付後に実施した研究は、概ね計画通りに進んでいる。2020年度に計画した1つの研究は、研究計画通り研究結果の分析、考察を終了している。現在は、本研究成果を海外雑誌への論文発表を行うこと、および、国内の関連学会での発表準備、次期の研究計画を立案している。
|
Strategy for Future Research Activity |
2020年度に実施した研究では、外来でがん薬物療法を受ける患者に対して、看護師による診察前問診時に当院で独自に開発されたシート(ARCシート)を活用して診察前問診をすることで、がん薬物療法時の有害事象の、口内炎と味覚異常の把握に有用であることが分かった。また、医師の診察前に看護師が問診をすることが、患者の安心感につながっていることが明らかとなった。これらの結果を論文にまとめ、2021年度前半でまずは報告を行う。 2021年度は現在使用している診察前問診のARCシートをさらに発展した形で改良を加えた「新ARCシート(仮)」を作成する。本シートを臨床現場で使用できるように、組織と調整する。次に、新ARCシートの実臨床での活用が浸透するころに、再度、患者に「新ARCシート」の有用性について評価を計画し実施する。
|
Causes of Carryover |
今年度は、予算として計上していた旅費での使用がコロナ禍により0円となった。さらに、海外論文の投稿代の計上が2021年度に繰り越しとなったためである。
|