2020 Fiscal Year Research-status Report
過剰な飲酒に対する遺伝子多型情報を用いた簡易介入の検討
Project/Area Number |
20K10779
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
大脇 由紀子 筑波大学, 医学医療系, 研究員 (30765392)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉本 尚 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (80608935)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | アルコール / 代謝酵素 / 遺伝子多型 / 健康障害 / 簡易介入 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、過剰な飲酒をしている20~30歳の成人(大学生および大学院生)を対象として、研究協力者にAUDIT(Alcohol Use Disorders Identification Test)によるスクリーニングとALDH2およびADH1Bの遺伝子タイプ別の情報提供による簡易介入を実施し、生活習慣病のリスクがある飲酒習慣の改善と、睡眠や疲労および健康管理の状況の変化を評価することを目的とするランダム化比較試験である。 2020年度は、アルコール代謝酵素の遺伝子型のタイプ別に適した体質検査結果通知書と介入資料を作成し、具体的な研究計画について筑波大学医学医療系医の倫理委員会(ヒトゲノム・遺伝子解析研究)の承認を得た。アルコール体質検査は、少量の唾液検体による非侵襲的な検査であり、被験者の負担が少なく、検査機関に郵送して結果通知書を受け取る方法である。被験者は、通知書により、自身のアルコール代謝酵素の遺伝子型に沿った体質と適切な飲酒に関するアドバイスを知ることができる。被験者の検査費用は研究費で負担し、研究協力者と検査機関の負担が少なく、円滑に実施できるように検査委託機関との調整を進めている。簡易介入は、個別の通知書と介入資料を基に同意を得て実施する計画である。効果を検討するための質問紙は、主要評価項目(飲酒時1日あたりの平均飲酒量、過剰な飲酒のスクリーニングテスト:AUDIT,AUDIT-C)、副次的評価項目(飲酒行動の変化のステージ、アルコール体質や飲酒に関する認識、主観的健康管理能力尺度、睡眠状況、青年用疲労自覚症状尺度、体質検査を受けて良かったこと等の自由記述)、属性などで構成される。 また、2020年以降のCOVID-19の流行状況により、国や大学の感染症対策に従い、研究協力者のリクルートや介入方法についても、対面またはオンラインによる実施方法を検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2020年度は、非侵襲的アルコール体質検査による情報提供と介入資料および研究計画を具体的に検討し、所属機関の倫理委員会の承認を得る期間と設定しており、おおむね計画通りに進捗している。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度は、UMIN臨床試験登録システム(UMIN-CTR)に登録し、筑波大学の学生を対象に研究協力者のリクルートを実施する。研究協力者(生活習慣病のリスクがある飲酒者)を、無作為にアルコール体質検査実施群と対照群に分け、簡易介入を実施する。簡易介入の効果は、介入前をベースラインとして、1か月後、3か月後、6か月後の質問紙調査により検討する。 介入群と対照群は各100名を予定しており、2021年度以降、対象数を満たすまで継続して研究協力者の募集と介入および調査を実施する。 なお、COVID-19等の感染症の流行状況により、研究協力者のリクルートや介入の時期、オンラインによる方法等を考慮して実施する予定である。
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Causes of Carryover |
アルコール体質検査の結果通知書など、介入に係わる資料作成の打ち合わせが、COVID-19の感染予防のため、すべてオンラインでの実施となり、旅費を使用しなかった。また研究代表者も、ほぼ在宅勤務となり、2020年度は研究計画の具体的な検討とオンライン打ち合わせ、倫理申請などの作業が中心となり、被験者の検査費用や質問紙等の印刷用の物品費、郵送費も使用が無かった。 今年度は、倫理審査も承認され、研究協力者のリクルートを開始するため、昨年度に使用しなかった費用を、被験者のアルコール体質検査費用、研究協力者への謝金、印刷費、郵送費等で使用する計画である。
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